2013 Fiscal Year Annual Research Report
LHC実験でのヒッグス粒子探索に基づいた超対称性模型の検証
Project/Area Number |
13J04461
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
中村 純也 総合研究大学院大学, 高エネルギー加速器科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超対称性模型 / ヒッグス粒子 |
Research Abstract |
Fermi-LAT観測衛星で観測された、天の川銀河中心付近からのγ線分布に現れるアノマリーが、暗黒物質対のτレプトン対への崩壊シグナルである可能性に注目した。観測されたγ線分布を最小の超対称性模型の枠組みで説明可能であるためには、超対称性粒子である第三世代のスカラーレプトンが弱相互作用を媒介するW、Zボソンと同程度の質量を持っていることが必須であることをまず明らかにした。この第三世代スカラーレプトンの存在が、既存のいくつかの重要な観測結果とも無矛盾であることを示し、さらにヒッグス粒子の重要な崩壊モードの一つである二つの光子への崩壊モードへの影響を評価し、論文として発表した。 超対称性模型が予言するヒッグス粒子は、上記の第三世代スカラーレプトンを含めた超対称性粒子の存在により、標準理論のヒッグス粒子とは異なる結合定数を持つ可能性がある。したがって、ヒッグス粒子の性質の測定は、超対称性模型の可能性を議論する上で非常に重要である。私は、ビッグス粒子そのものではなく、ヒッグス粒子と一緒に生成される二つの高エネルギーなQCDジェットの角度相関を測り、その分布に基づいてヒッグス粒子の性質を評価するというアイデアに注目した。ヒッグス粒子は生成確率が小さいため、この試みは未達成である。今後、この解析が可能となるのに十分なデータがLHCで得られたとき、重要となるのはQCDジェットの分布を摂動QCDに基づいて出来るだけ正しく予言することである。私は、QCDジェットの分布を予言する際に、QCD摂動展開の高次補正の効果を正しく取り入れる方法について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
LHCでのヒッグス粒子探索実験の現在までの結果を、標準理論よりもより良く説明し、なおかつ、天の川銀河中心付近からのγ線分布に現れるアノマリーを、暗黒物質のシグナルであると主張することが可能な、超対称性模型のシナリオを提案することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べたように、ヒッグス粒子と一緒に生成される二つの高エネルギーなQCDジェットの角度相関を測定することは、ヒッグス粒子の性質を知る上で今後重要となり得る。QCDジェットの分布を予言する際に、QCD摂動展開の高次補正の効果が重要になるのではないかと私は考えており、したがって、今後はまず摂動QCDについて理解する。
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Research Products
(1 results)