2014 Fiscal Year Annual Research Report
次世代有人宇宙ミッション実現へ向けた複合系流れ場解析と再突入軌道設計
Project/Area Number |
13J04485
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石原 知明 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 極超音速流LES / 高温衝撃風洞 / 異常加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は, 地球帰還有人宇宙機の高精度熱空力予測に向けた, 熱化学非平衡性, 輻射, アブレーション, 乱流といった極超音速気流中の宇宙機周りでの物理現象間相互作用を考慮した複合系の流れ場解析と軌道経路解析の連成解析を行うことである. 本2年目では,1年目で構築した極超音速乱流解析コードを用いて,カプセル周りの乱流流れ場解析を行った.HIESTカプセル型有人宇宙機模型周りの実験データ及びRANS結果との比較検討を行った.HIESTは世界最大の衝撃風洞であり,他の衝撃風洞では不可能な高エンタルピ条件下の自然乱流遷移を捕らえることに成功している. しかし,HIESTでは(1)異常加熱現象 (2)空力係数に関して実験値とCFDに差異があるといった問題が存在することが知られており, これらの現象により,計測されたデータが乱流に因るものかどうか区別することが難しくなる可能性があるため,2年目ではこれらの解明及び補正法も試みた.異常加熱現象の原因として,隔膜前方に位置する反射衝撃波背後の高温気体による隔膜およびノズル等の溶融から生じる金属種の主流汚染を疑い,簡単な輻射加熱量計算によって,実験値と合うこと, 代数式で補正できることがわかり,日本航空宇宙学会の査読論文に投稿した.また,空力係数については, 膨張部での化学非平衡モデルについて及び主流条件の不確定性の空力係数への影響について調べた.不確定性定量化解析(UQ)を用いることで,壁面圧力への影響を定量的に調べた.結果,従来主流条件を算出して来たノズル解析において,ノズルスロート前方での輻射損失を考慮すべきであることがわかった.以上の結果においても,査読論文International Journal of Aerospace Engineeringに投稿した.現在は異常の補正法を基に算出した実験データと比較中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の特別研究員が本年度に行った極超音速流れ場におけるLES解析は,世界的にも例がなく今後のカプセル型有人宇宙機における断熱材設計において大きな指針となると考えられる.また検証用に用いる実験が有する異常加熱現象,空力係数における実験とCFDの差異についても,世界的に問題となっている現象であったが,これの解明および補正法の提案も行っており,乱流由来の熱流束増加を定量的に評価する上で大きな貢献であると考えられる.以上の結果について,国内学会4件,国際学会1件を学外で発表し,論文2編を既に投稿中であり,おおむね順調であると考えられる. 軌道設計まで本年度中に取りかかる予定であったが,次年度でやることになり,この部分だけ少し遅れていると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,異常の補正法を基に算出した実験データと比較する事で,RANSが苦手とするカプセル模型後方の剥離領域部分について壁面加熱率および空力係数を構築したLESコードと定量的に比較する.並行して極超音速乱流流れ場における熱化学モデルの検討およびLES計算に用いるSGSモデルの検討を行う. 近年, Martinらのグループにより,極超音速流れ場における熱化学非平衡モデルについて調べられており,その知見を活かし,熱化学非平衡性を考慮したLES計算も予定である.最終的には,LES解析で得られた知見を活かし,複合系流れ場解析に向けた新たなRANSモデル構築も視野に入れる予定である.その後,以上の結果を用いて,軌道設計を行う.
|
Research Products
(12 results)