2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗体プロテオミクス技術を駆使した新規バイオマーカーの同定と次世代型抗体の創製
Project/Area Number |
13J04578
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧 慎太郎 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Bispecific antibody / Ephrin receptor A10 / CD3 / 二量体BiTE |
Research Abstract |
申請者は、有用ながん治療抗体として期待される"BiTE抗体"のさらなる発展を目指し、肺がんを標的とした新規バイオマーカーの探索と"次世代型BiTE抗体"の開発に取り組んでいる。申請年度1年目では、所属研究室にて独自に同定した、乳がんの転移関連タンパク質であるEphrin receptor A10 (EphA10)をターゲットとする新規BiTE抗体の作製を試みるとともに、in vitro, in vivoにおける機能評価を実施した。その過程で、哺乳類発現系を利用したBiTE (EphA10/CD3)の調製法を確立するとともに、次世代型BiTE抗体として期待される二量体分子の形成を見出した。さらに、この二量体BiTE (EphA10/CD3)の機能を評価した結果、単量体と比較して、Thlサイトカイン産生が増強されるとともに、in vivoにおいてもより強力な抗腫瘍効果を発揮することが明らかとなった。以上の成果は、2つの国内学会(第29回DDS学会、日本薬学会第134年会)、2つの国際学会(HUPO 12th Annual World Congress、AACR-NCI-EORTC International Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeutics)にて発表を行っている。さらに、申請者は、肺がん患者由来の腫瘍組織を用いた血管プロテオミクスにも着手し、新規バイオマーカーの候補として同定された複数のタンパク質に関する詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請年度1年目での研究成果において、EPhA10とCD3を標的としたBispecific抗体をモデルに、次世代型BiTE抗体の調製法、機能評価(in vitro, in vivo)に至る一連の実験系を確立することに成功した。さらに、BiTE抗体が抱えている課題の1つである「新規バイオマーカーの探索」にも着手していることから、上記の評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
申請年度2年目の研究では、①肺がんをターゲットとする新規バイオマーカーの探索、②ヒト抗体ライブラリを用いた抗体取得、③次世代型BiTE抗体の調製・機能評価を試みる。具体的には、現在検討を進めている肺がん患者由来の腫瘍組織を用いた血管プロテオミクスにより同定された複数の候補タンパク質に対する詳細な機能解析を進める。また、当研究室にて構築したヒト抗体ライブラリを使用し、前年度に調製したBiTE抗体(EphA10/CD3)のヒト型化に向け、EphA10・CD3・(新規バイオマーカー)に対するヒト抗体の取得を試みる。さらに、取得したヒト抗体を基に、次世代型BiTE抗体の調製と機能評価を通じて、本研究の発展を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)