2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞傷害応答におけるTLPのp53活性化機構と応答配列認識機構の解明
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13J04583
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 秀文 千葉大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1) (00793770)
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Keywords | TLP / p53 / TFIIA / 転写 / 遺伝子発現 / 細胞増殖 / DNA傷害応答 |
Research Abstract |
p53を介したTLPのp21発現制御機構を解明するため、TLPとp53の相互作用に着目して、p53のTLP結合部位の決定を試みた。p53タンパク質の様々な部位に変異を導入し、TLPとの結合力の強さを評価した。その結果、TLPはp53のN端と結合していることがわかった。遺伝子発現量の解析やプロモーターアッセイの結果から、TLP-p53の結合は、p21遺伝子の発現に必要であることが示された。TLPの他の結合因子としてはTFIIAが知られている。 TLPはTFIIAに対してTBPよりも強く結合することが知られているが、その意義は十分には解明されていなかった。そこで、TFIIAのp21上流プロモーター活性化への関与を調べたところ、TLPのTFIIAとの結合力はプロモーター活性化に必要であることがわかった。p21上流プロモーターのp53応答領域近傍へのTLPの結合にはTFIIAとの結合能が必要とされることも明らかになった。また、TFIIA自身がp21上流プロモーターを活性化することも示されたことから、TLPがTFIIAとの相互作用を介して標的遺伝子の転写を活性していることが考えられた。さらに、TLPとTFI][Aは、エトポシド処理によって誘導されるDNA傷害に応答して、p53とともにp21プロモーターへとリクルートされた。細胞増殖速度の解析では、TLPおよびTFIIAの相互作用が細胞増殖の負の制御に必要であることがわかった。これらの結果から、TLPとTFIIAは、DNA傷害応答においてp21遺伝子の発現を上昇させ、細胞増殖を負に制御しているという結論に至った。p53欠損型の細胞や、p53REを欠失したp21プロモーターでは、TLPおよびTFIIAによるプロモーターの活性化は起こらなかったことから、TLP一TFIIAによるプロモーター活性化はp53依存的であると考えられた。p53、TFIIAはそれぞれ転写調節に重要な因子であるが、TLPによるp53およびTFIIAの機能調節はこれまで明らかにされておらず、今後さらなる進展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p53とTLPの相互作用部位の決定とその転写活性化における意義や、TLPの転写活性化能とTFIIAの関係性など、今年度の計画と目的として記載した事項を複数明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
TLPがp53およびTFIIAと関連して転写を制御することが明らかになったことから、p53、TFIIAとTLPの相互作用が及ぼす影響をさらに深く解析していく。具体的には、以下の2点を行う。(1)TLPのp53結合性がp53機能を高める分子メカニズムの解析、(2)TLP・TFIIA間の高い結合性が有する細胞内機能の探索
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