2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学技術によるシナプス構造可塑性を担う分子構造の解明
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13J04607
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
後藤 明弘 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | sLTP / Cofilin / CALI |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はsLTP誘導に伴うspine頭底部でのCofilinの集積の意義を検討した。 光照射によってCofilinを不活化することが可能であるCofilin-KillerRed (CFL-KR)を用いて、sLTP誘導後に集積したCofilinを不活化した後にspineの形態維持(sLTP)にどのような影響がでるかを検討した。sLTP誘導10分後に光照射によってCofilinを不活化すると、LTPによって拡大したspineの縮小が観察された。一方、LTPを誘導していないspineでCofilnを不活化してもspineの形態に変化は見られなかった。このことから、sLTPの形態維持にはCofilinが重要であうことが明らかとなった。 さらにsLTPによって集積したCofilinの機能を検討するため、PAGFP-actinを用いて、spineにおけるactinのターンオーバーを検討した。sLTPを誘導していないspineでPAGFP-actinの光活性を行うと、PAGFP-actinは360秒以内でspine外に流出する。sLTPを誘導したspineでPAGFP-actinの光活性を行うと、光活性化されたPAGFP-actinが10分以上spine内にとどまった。さらにsLTP誘導後にCofilinを不活化すると、PAGFP-actinのターンオーバーが早くなった。このことから、集積したCofilinはactinのターンオーバーを遅くすることでspineの拡大とその維持に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたCofilin-KillerRedを用いたCofilinの不活化によるCofilinの生理的な意義の解明は達成できた。 また、PAGFP-actinを用いたactinのターンオーバーの可視化も実行しており、Cofilinがactinのターンオーバーを遅くしているという仮定を立証することにも成功している。 昨年度予定していた実験はおおむね実行することができており、以上の理由から順調に進展したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCofilinによるsLTPの構造維持の作業仮説をさらに検討する。 具体的には超解像度顕微鏡を用いてPALMによるactinの1分子追跡をおこなう。 作業仮説が正しければ、LTPの誘導によってactinはの流れは遅くなることが予想される。 さらにCFL-KRを発現した培養神経に光を照射してCofilinを不活化した後に、actinの流れが再び早くなるかを検討する。 最終的には電気生理を用いて、光照射によってCofilinを不活化することでLTP(EPSP)が抑制できるかを検討する予定である。
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