2014 Fiscal Year Annual Research Report
労働者の自職卑下メカニズムと精神的健康格差:関係主義的相互作用論からのアプローチ
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13J04709
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
古里 由香里 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 精神的健康格差 / 職業威信 / 健康格差 / 自職評価 / 自職卑下傾向 / 労働 / 計量分析 / 国際情報交換(カナダ) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,労働者の健康格差という問題に対し,社会と個人との関連・相互作用の影響という視点を導入し,その本質を捉えなおすことを目的とする.抑うつ研究は,従来,生活習慣や心理・生理的特性などの個人の問題,もしくは,社会の変遷や構造の問題というように,ミクロ・マクロの二元論で行われがちであった.しかし,本研究は,そこに集団間の相互作用というメゾレベルの社会学的理論を取り入れ,包括的な説明を試みるものである. 本年度における研究実績は,①本調査の実施準備,②本研究で検討する理論の検討,そして③それらの学会発表の3点にわけることができる. まず,第一に,本調査の実施準備のため,前年度に行った予備調査データを用いて計量分析を行った.これは,本調査を行う上で必要となる前段階としての調査であり,研究の方向性や質問紙の精度を試し,傾向を確認することで,本調査で得られるデータの確実性を高め,仮説をブラッシュアップすることを目的とした.またこれらの結果をもとに、学会発表を行うことで、対象者の特定や調査方法を検討・議論し、改善を得ることができた。 第二に,University of Victoriaにおける客員研究員学生としての研究活動である.これは,隣接領域を融合的に研究する最先端である北米の大学での客員研究員としての研究活動をとおして,理論の補強をしていくことを目的としていた.特にカナダでは福祉研究はいち早く,また多角的に進められている.よって,自職評価と精神的健康格差を研究する上で,非常に有効な環境となるため,4月から約6ヶ月間にわたって滞在し,資料収集,研究発表を中心に活動した. 第三に,本年度は研究発表を精力的に行った.昨年度の改善点として、学会発表の少なさがあったため、今年度は予備調査での調査結果を発表し、そこでの意見交換や議論から研究を再考・修正をすることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の達成度は、おおむね順調に進展していると考えられる。 当初の計画に則ると、26年度に予定していた本調査の実査には至れなかったものの、反面、内容的な検討については、理論的補強と学会活動による、インプット・アウトプット両面で1年間十分に活動することができ、研究を深めることができた。よって、遅れに関しても取り戻せる範囲内であり、当初計画以上の活動もできたため、達成度はおおむね順調に進展している、と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査の実査は遅れているものの,全体的な進度は比較的順調に進んでおり、特に、研究内容の点では、非常に活発に研究活動によって、研究をより深く検討することができた.よって,来年度では,今年度分析したデータや収集した資料・研究知見をもとにして,本調査の実施を行う。それらの調査結果をもとに論文を執筆するとともに、3年間で行ってきた本研究の総まとめとできるよう、最終年度を意識して研究活動を行っていく。
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Research Products
(6 results)