2013 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期からの自己認識と他者理解に関する発達科学研究
Project/Area Number |
13J04767
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今福 理博 京都大学, 大学院教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会性発達・言語発達 / 社会的注意 / 感覚―運動の統合 / 乳児・満期産児・早産児 / アイトラッカー / 人への選好・視線追従 / 横断研究・縦断研究 / 発達評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 1)新生児期からの感覚―運動の統合過程に焦点を当て, ヒトの社会性発達の様相を明らかにすること, 2)社会性発達の問題が報告されている早産児(在胎週数が37週未満で出生した児)の発達過程を明らかにすることである。 本年度は, 乳児期の社会性発達を評価する枠組みを構築するため, アイトラッカー(Tobii)による非侵襲的で定量的な評価ツールの作成を行った。具体的には, 6・12ヶ月の早産及び満期産乳児を対象に, 「社会的注意(他者の顔や音声などの社会的刺激に対する注意)」課題と「社会性―言語の発達」課題により, 社会性発達の評価を実施した。「社会的注意」課題には, (a)バイオロジカルモーション課題と(b)人への選好課題を用いた。「社会性-言語の発達」課題には, (c)顔一声の視聴覚マッチング課題と(d)視線追従課題を用いた。 本年度に実施した横断研究の結果, 下記の4点が明らかとなった。(1)早産児では満期産児よりも人への選好が少ない。(2)早産児では満期産児よりも視線追従が少ない。(3)12ヶ月児は6ヶ月児に比べ, 人への選好が強く, 視線追従を多くする。(4)人への選好と視線追従の割合との間に正の相関関係がある。本年度の研究では, 早産児における社会性発達が, 6・12ヶ月の時点で満期産児と異なることを示した。更に, 人への選好が強いほど, 視線追従の能力が発達している可能性を示唆した。今後は, 本研究で得た乳児の視線パターンの背後にある認知・生理学的メカニズムを探るとともに, 社会性発達の予後との関連を縦断的に検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳児期における社会性発達の評価の枠組みを, 非侵襲的で定量的な手法を用いて構築することができた。本年度の研究結果は, 次年度の国際学会において発表が採択され, 国際雑誌への投稿も行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は, 横断研究により6・12ヶ月時点の「社会的注意」と「社会性―言語の発達」の評価を行った。しかし, 6・12ヶ月時点での社会的注意が, 生後2歳以降の社会性発達の予後とどのように関連するのかについては明らかでない。次年度の研究では, この点を明らかにするため, 縦断研究を行う。また, 次年度以降は, 乳児期の感覚―運動の統合過程に焦点化し, 社会性発達との関連について検証していく。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Emergence of prefrontal function engaging in self-referential vs. external-focused attention in 5-6 month-old infants2013
Author(s)
Minagawa-Kawai, Y., Hoshino, E., YAtabe, k., Imafuku, M., Sato, H., et al.
Organizer
Neuro 2013
Place of Presentation
Kyoto, Japan
Year and Date
2013-06-23
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