2014 Fiscal Year Annual Research Report
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13J04816
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川幡 由希香 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 攻撃性 / 性差 / 脳 / バソトシン / アンドロゲン / メダカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、VTとNPBのいずれか、もしくは両方が魚類の攻撃性を支配する脳内因子であるという仮説のもと、魚類の攻撃性を支配する脳内メカニズムを明らかにすることを目的とした。まず発現制御機構については、VT発現ニューロンがアンドロゲンを直接受容できるのかを調べるため、神経核ごとのアンドロゲン受容体の発現を詳細に解析したところ、雌雄共通の発現を示す細胞ではアンドロゲン受容体との共発現は認められず、オス特異的なVT発現細胞にのみ共発現が認められた。またアンドロゲンがVTの転写を活性化する際に、VTのプロモーター領域に存在するいくつかのアンドロゲン応答配列(ARE)様配列のうち、どのARE様配列が機能的であるかについてプロモーター配列の欠失や変異導入により解析した。その結果、1つのARE様配列において転写活性の減少がみられるものの、転写活性の消失はみられなかった。このことから、これらのARE様配列以外のARE様配列が機能的である、またはいくつかのARE様配列が協調してはたらくことが考えられた。作用機序については、オス特異的VTニューロンの軸索の投射先を解明する必要がある。そのためのツールとしてVT発現細胞でGFPを発現するトランスジェニックメダカを譲渡していただき、脳での局在を検証したが、すべてのVT発現細胞でGFPの発現は確認できなかった。そのため今後の解析には、異なるプロモーターを用いた新たなトランスジェニックメダカの作出、もしくは特異抗体やトレーサーを用いる必要があるという結論を得た。VTがメダカにおいても攻撃性に関与している可能性を検証するため、VTのノックアウトメダカを用いた解析を行った。譲渡していただいたVTのノックアウトメダカの継代飼育を行い、ホモ個体を得ることができた。今後はノックアウト個体を用いた行動解析を行い、VTと攻撃性との関連を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的であるVTの発現制御機構、作用機序、攻撃性への関与の全てに関して着実にデータを積み重ねることができ、また来年度以降の研究の発展にむけたツールや手法も増えていっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
VTのアンドロゲンによる発現制御機構の解明のため、VTプロモーター領域に存在するどのAREを介して作用するかを特定する。また、直接的な転写活性経路だけではなく、間接的にどのようなニューロンがVTに接続しているのかをトレーサーを用いて解析する。作用部位・作用機序に関しては、トレーサーもしくはVT-GFPトランスジェニックメダカを用いてVTニューロンの投射先を明らかにしていく。攻撃性への関与については、VTノックアウト個体を用いた行動解析を行い、アンドロゲンとVTと攻撃性との間の関連性をより明確にする。また、水産増養殖への応用のための基礎データを得る目的で、メダカの全ライフサイクルにおけるVTの発現パターンを解析する。胚発生時の発現変動、日内変動、そして光周期や水温の変化に伴う発現変動の解析を行う。
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Research Products
(2 results)