2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経修飾法による運動学習の操作・デザインを実現するための基礎的研究
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13J04917
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
上原 信太郎 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経修飾法 / 運動学習 / 運動技能 / 運動の切り換え / ランダム練習 / 機能的核磁気共鳴画像法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は運動学習に対して効果的に神経修飾法を活用するための基礎的知見を積み上げることである。前年度までに、運動技能間の切り換えは技能練習を通じて学習され、それは複数の運動技能をランダムな順序で練習することで効果的に学習されることを明らかにした。本年度は、この結果に基づき、運動技能間の切り換えを担う脳領域の同定、および切り換えの学習に関わる神経基盤を明らかにすることを目的に脳機能イメージングデータの解析を行った。 実験参加者には、2つの異なる系列指タッピング運動をランダムな順序で実施してもらい、2種類の系列運動を同時に学習することを要求した。運動パフォーマンスの解析から、直前の試行とは異なる系列タッピング運動を行った試行(切り換え試行)は、直前の試行と同じ系列タッピング運動を行った試行(連続試行)と比較して、運動パフォーマンスが低下することが確認された。更に、このパフォーマンスの差異は練習を通じて減少していくことが示された。以降、この差異の変化を切り換え能力を表す指標として利用した。脳イメージングデータの解析から、切り換え試行実行前の運動準備中には連続試行の場合に比較して、左側前頭-頭頂皮質の脳活動が高まっていることがわかった。この準備脳活動の差異は運動技能間の切り換え過程を反映しているものと考えられた。また、切り換え試行と連続試行とのパフォーマンスの差が縮小するのに伴い(=切り換えの学習)、左頭頂間領野の準備脳活動が減少していくことが分かり、この活動の変化は切り換え学習過程を反映しているものと推察された。同領野の活動減少は運動技能そのものの学習とは関連せず、切り換えの学習は運動技能自体の学習とは異なる学習プロセスであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、運動学習に関連する学習要素を抽出しその神経基盤を理解することを第一の目的としている。これは現段階で概ね達成されていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記した実験内容を論文としてまとめ、年度前半に国際誌へ投稿する予定である。またこれらの結果に基づき、運動の切り換えといった学習要素が神経修飾法によって操作可能か否か、その応用可能性を検証する予定である。
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Research Products
(4 results)