2014 Fiscal Year Annual Research Report
データ駆動科学に向けたマルコフ連鎖モンテカルロ法緩和過程の解明とその応用
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13J04920
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 義典 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マルコフ確率場 / ハイパーパラメータ推定 / ダウンサンプリング / 繰り込み群 / 次元削減 / 過完備基底 / レプリカ法 / 貪欲法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自然科学で得られる多様なデータから原理・法則を抽出するデータ駆動科学を推進することである.中でも,マルコフ連鎖モンテカルロ法のような統計力学的手法に着目している.採用第2年度目である平成26年度では,マルコフ確率場のハイパーパラメータ推定,過完備基底による次元削減に関する研究を主に行った. マルコフ確率場とは,画像データ解析に有用なモデリング手法であり,そのハイパーパラメータは拡散係数に対応することが指摘されている.本研究では,画像データを取得する際,空間的に連続な現象を離散的に記録するダウンサンプリングを伴うことに着目した.具体的には,ダウンサンプリングにより得られた2次元画像からハイパーパラメータの事後分布を求めると,系統的なバイアスが生じることを明らかにした.これはハイパーパラメータを推定する際に,複数の異なる解像度で取得した画像を統合して推定する必要があることを示す.また,この系統的なバイアスに関して,統計力学の繰り込み群の考え方を用いて議論した. 次元削減とは,高次元データを,その情報を落とすことなく説明可能な少数の変数を見出す枠組みである.次元削減の際,過完備基底を用いると,次元削減に用いる基底ベクトルを選択する余地が広がり,性能向上が期待できる.本研究では,基底ベクトルを選択する手法として,全数探索を旨とするL0法とL1正則化を旨とするL1法とをとりあげ,その性能を統計力学のレプリカ法により評価した.また現実的な性能を調べるため,貪欲法の一種であるOrthogonal Matching Pursuit(OMP)というアルゴリズムの性能を評価した.OMPがL1法の性能限界を超えるが,L0法の性能限界には至らず,貪欲法の観点からアルゴリズム改良の余地があることを示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度に行った,マルコフ確率場に関するハイパーパラメータの分布推定に関する研究は,特集論文として掲載された.今年度はその研究を発展させ,より現実的な問題であるダウンサンプリングの影響を調べるに至った.それだけでなく,過完備基底を用いた次元削減に関する性能評価も行い,複数の学会発表を行っている.以上の進展があったことが理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,マルコフ確率場のダウンサンプリングに関する研究および過完備基底を用いた次元削減に関する研究で査読付き論文に掲載されるよう内容を充実させる.同時に,二つの技術を応用可能な系として,走査型トンネル顕微鏡(STM)があり,実際に,STM研究者と具体的な適用について検討を始めており,その研究を実行に移すことを目指す.
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Research Products
(11 results)