2014 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮における新規イオンチャネルの網羅的発現解析とその機能の解明
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13J04959
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 直紀 新潟大学, 医歯学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯肉上皮細胞 / 歯周炎 / TRPチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
1) ヒト歯肉組織中におけるTRPチャネルタンパク遺伝子の発現解析およびその局在 我々は昨年度までにヒトの歯肉組織中にTRPV1が遺伝子レベルで発現していることをPCR法にて確認しており、タンパクレベルでの発現とその局在に関して検討を行った。インフォームドコンセントの得られた患者より歯周外科手術時もしくは抜歯時に歯肉組織を採取、パラフィン切片を作製し、TRPV1に特異的な抗体を用いて免疫染色を行った。その結果、歯肉組織においてもTRPV1が発現していることがタンパクレベルでも確認され、その発現は上皮細胞層で優位であることが明らかとなった。この結果は、先に報告したマウスの歯周組織での発現傾向と同様のものであった。
2) 歯周炎と歯肉炎組織でのTRPチャネルタンパク遺伝子発現の比較解析 さらに、歯周炎との関与を検討する目的で、歯周炎患者と歯肉炎患者より採取した歯肉組織から通法によりmRNAを抽出し、TRPV1チャネルに特異的なプライマーを用いてReal-time PCR法を行い、歯周炎組織(21サンプル)と歯肉炎組織(19サンプル)における遺伝子発現量を比較した。Trpv1において歯周炎組織では、歯肉炎組織に比較して有意に発現が低下していることが確認された。一方で、Trpv2、Trpv3において、歯周炎組織と歯肉炎組織間では発現量に有意差は認められなかった。これらの結果より、Trpv1の発現変動が歯周炎の発症・進行に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験をいくつか並行し、スムーズに行うことができた上に、ここまで得られた研究結果を国際学会および国内学会で発表をそれぞれ行い、同分野の研究者たちと意見交換ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周炎の病態形成におけるTRPチャネルタンパクの機能解析 (in vivoにおける解析) 我々が以前確立した歯周炎モデルマウスの方法を参考に、P. gingivalisの口腔内感染を行う。8週齢のマウスに抗生剤を含む水を10日間投与し、抗生剤を除いた水を3日間与えた後、2%カルボキシメチルセルロースを含むPBSで調製したP. gingivalis全菌体を3日に1度、計10回、フィーディングニードルを用いて経口的に感染させる。感染終了時に安楽死させ、サンプルの回収、解析を行う。必要に応じて、歯牙結紮モデルを用いて実験的歯周炎を誘導する。 1) TRPV1ノックアウトマウスにおける検討 マイクロCTによる歯槽骨吸収を測定、歯肉組織を採取しmRNAを抽出し、炎症性サイトカインおよびケモカインの遺伝子発現をReal-time PCR法にて解析する。歯槽骨吸収量と炎症性サイトカイン発現の違いにより歯周炎の重症度を比較検討する。また歯周組織の脱灰組織標本を作製し、細胞増殖マーカーであるKi67およびPCNAの免疫組織染色による細胞増殖の評価を行う。 2) 野生型マウスへのアゴニスト、アンタゴニスト投与による検討 TRPV1チャネルタンパクのアゴニスト、アンタゴニストを飲料水もしくは食餌に混和し、前述と同じ方法で口腔内感染を行い、同様の解析を行う。投与群において歯周炎の病勢が抑制されることを期待する。
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