2014 Fiscal Year Annual Research Report
依存性薬物の作用機序におけるセロトニン神経伝達の機能解析
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13J04961
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森屋 由紀 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルコール依存 / μオピオイド受容体 / 心理社会的隔離ストレス / 雌雄差 / 二瓶選択実験 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はアルコール依存の形成に重要な役割を持つオピオイド受容体に注目し、ストレスによるアルコール摂取量の影響を検討した。アルコールは嗜好性飲料として親しまれているが、長期にわたる大量摂取によりアルコール依存症を引き起こし、中枢神経の可塑的変化を伴った精神依存が問題となっている。一方、モルヒネなどの鎮痛薬は多くの痛みに対して有効であると共に、強力な精神依存も引き起こす。現在までにμオピオイド受容体がストレス応答や依存形成・鎮痛において重要な役割を果すことを明らかにしてきたが、ストレス下でのアルコール依存の病態における機能的役割は不明であった。そこで、社会的隔離ストレス下におけるアルコール依存形成、病態機序にオピオイド神経伝達がどのように関与しているかについて、μオピオイド受容体欠損(MOP-KO)マウスを用いて解析した。離乳後のマウスを同胞マウスと隔離し単独にて飼育し、社会的隔離ストレスを42日間負荷した。多頭飼いマウスは1ケージに3から5匹で飼育したのに対して、単頭飼いマウスは同じ大きさのケージに1匹で飼育した。社会的隔離ストレス負荷後、二瓶選択実験(15mlのガラス瓶に8%エタノールあるいは水を入れ測定)を実施した。集団飼育下において、雄性MOP-KOマウスは雄性野生型マウスと比較してアルコール摂取量が低値傾向であった。社会的隔離ストレス負荷により雄性MOP-KOマウスでは集団飼育条件に比較してアルコール摂取量が有意に高値であった。雄性とは逆に雌性MOP-KOマウスでは社会的隔離ストレス負荷がないとアルコール摂取量が有意に高値であった。一方で、野生型マウスでは性別に関わらずストレス負荷の有無によるアルコール摂取量の変化はなかった。以上の結果は、オピオイド神経伝達がストレスによるアルコール摂取量の変化に寄与することを示唆するとともに、その機能が性別によって異なることを示していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度期間中に得られた研究成果については、学術論文、国内外の学会で発表を行うことができ、目標の達成度は期待以上の成果を上げている。また、ストレス感受性やアルコール依存の形成に性差が存在するという興味深い結果が得られており、今後の発展が期待できる。順調に進捗し、全体的に妥当な成果をあげているものの、雌雄差をふまえた分子生物学的、細胞生物学的解析が不十分なので、今後問題を整理し有効なデータを収集し、適切な形で研究に取り組み、本研究に関する研究会、シンポジウム、論文、国際学会などに積極的に参加し国際的な評価を得たい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに取り組むべき課題として、先行研究からストレスの種類(精神的ストレス・身体的ストレス)により、脳が賦活される経路が違うこと(Herman et al., 1997)、ストレス関連疾患や物質依存に対して雌雄差(性差)がある(Nelson et al., 1998; Repetti et al., 1997)ことから、ストレス耐性関連遺伝子の発現の性差にも焦点をおき、アルコールによる報酬、耐性、離脱へのμオピオイド神経伝達の関与を解析する予定である。また、オピオイド受容体はストレス反応の制御に関連し、疼痛や報酬、うつ病などの精神疾患の病態との関連も示唆されていることから、神経伝達物質の放出量、放出された神経伝達物質が結合する受容体の発現量を定量的に解析することで雌雄差(性差)の検討を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Methylone-induced hyperthermia and lethal toxicity: role of the dopamine and serotonin transporters.2015
Author(s)
Piao Yingshan, F. Scott Hall, Yuki Moriya, Miki Ito, Arihisa Ohara, Ruri Kikura-Hanajiri, Yukihiro Goda, Klaus-Peter Lesch, Dennis L. Murphy, George R. Uhl, Ichiro Sora.
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Journal Title
Behavioural Pharmacology
Volume: in press
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access
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