2014 Fiscal Year Annual Research Report
希土類添加アルミニウム系ペロブスカイト型酸化物の発光解析と応用
Project/Area Number |
13J05026
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 雄平 九州工業大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペロブスカイト型酸化物 / 希土類 / エネルギーレベル / 発光デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、基礎研究として、III-III系(Al系)ペロブスカイト型酸化物母体材料の価電子帯や伝導帯に対する希土類イオンのエネルギーレベルを明らかにすることを目的としている。平成26年度は、希土類添加III-III系ペロブスカイト型酸化物YAlO3等のバンドギャップや希土類イオンのエネルギーレベルを解析した。解析用サンプルは、錯体重合法によって作製し、XRDによりほとんど目的物質の単一相であることを確認した。バンドギャップは、光吸収・励起スペクトルの測定値や文献値を参考にして求めた。母体の価電子帯上端の位置や希土類イオンの4f基底状態のエネルギーはX線光電子スペクトルの測定値を基に決定した。得られた情報から、母体の価電子帯上端の位置を基準とした希土類添加III-III系ペロブスカイト型酸化物の希土類イオンのエネルギーレベル図を作成した。本基礎研究により、希土類イオンのエネルギーレベルが代表的な酸化物を用いて系統的に明らかとなった。発光の解析や新規蛍光体の物質探索等に有用なデータを得ることができた。 本研究の応用研究として、基礎研究の知見を基に、デバイス化に有望なIII-III系ペロブスカイト型酸化物蛍光体を探索・選択し、その蛍光体薄膜を用いた無機発光デバイスを試作することにしている。平成26年度は、Gd3+の強い発光が期待できるGd添加YAlO3とGd-Pr共添加YAlO3について薄膜を作製した。スパッタリング法やパルスレーザー堆積法による製膜を行い、高品質な薄膜が作製できた。フォトルミネッセンスの測定では、Gd添加、Gd-Pr共添加薄膜のいずれもGdの発光を示した。カソードルミネッセンス(CL)の測定においても、両薄膜はともにGd3+からの発光を示し、Gd添加薄膜がGd-Pr共添加薄膜より強いCLを示すことが分かった。今後、薄膜型発光デバイスの試作を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎研究について、III-III系ペロブスカイト型酸化物母体材料中の希土類イオンのエネルギーレベルの解析を行い、エネルギー図を作成することが出来た。また、応用研究についても、結晶性の高い高品質な薄膜の作製に成功し、基礎的な発光評価をすることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎研究については、追加調査として、希土類を添加した蛍光体サンプルの真空紫外領域の励起スペクトルをエネルギー図を用いて解析し、エネルギーレベルに関するより詳細な知見を得る。応用研究については、作製に成功した希土類添加蛍光体薄膜を用いたカソードルミネッセンス(CL)やエレクトロルミネッセンス(EL)の評価を進める。CLやELのデバイスへの応用を検討し、発光を示したデバイスに関して基礎的な発光の評価を行う。
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