2013 Fiscal Year Annual Research Report
HDDR法応用によるDyフリー高保磁力・高耐熱性Nd-Fe-B系焼結磁石の開発
Project/Area Number |
13J05050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 通秀 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Nd-Fe-B系焼結磁石 / HDDR法 / 水素解砕 / ヘリウムジェットミル / Nd-Fe-B系微粉末 / Nd-rich相 / 保磁力 |
Research Abstract |
本研究一年目の目標は、Nd-Fe-B系焼結磁石の原料となる粉末サイズがサブミクロンオーダーであり、かつNd-rich相の付着率が良いNd-Fe-B系微粉末を作製することである。Nd-Fe-B系焼結磁石は、原料粉末の微細化に伴い保磁力が増加することが知られている^<1)>。Une^<2)>らは、ストリップキャスト(SC)合金をヘリウムジェットミル(He-JM)を用いて1μm程度まで微粉化し、Dyフリーで2Tの保磁力を発現する焼結磁石を作製した。さらに粉末サイズを微粉化すれば、保磁力のさらなる向上が望めるが、既存の粉砕方法では困難である。それに加え、SC合金におけるNd-rich相間隔が4μm程度であるため、サブミクロンオーダーまで微粉化できたとしても各Nd-Fe-B系粉末におけるNd-rich相の付着率が低下し、焼結磁石の保磁力が向上しにくいことが予想される(焼結過程で液相となったNd-rich相は、粉末表面の欠陥を修復し、高保磁力の発現に寄与すると言われている)。したがって、Nd-Fe-B系焼結磁石の原料粉であるサブミクロンオーダーのNd-Fe-B系微粉末を作製するには、Nd_2Fe_<14>B相結晶粒径がサブミクロンオーダーであり、かつNd-rich相が均一に分布した組織を有する原料合金の開発が必要不可欠である。そこで、本研究ではHDDR(水素化不均化・脱水素再結合)法に着目した。SC合金にHDDR法を施すと、数100nmのNd_2Fe_<14>B結晶粒とNd-rich粒界相から成る組織が得られる。本研究では、HDDR法を用いて作製したNd-Fe-B系粗粉をHe-JMで微粉砕しサブミクロンオーダー(0.3~0.7μm)のNd-Fe-B系微粉末を作製することに成功した。これは、焼結磁石用原料粉末としては報告されている中で最も微細なサイズである。 1)M. Sagawa, Proc. of 21^<st> Int. Workshop on Rare-Earth Permanent Magnet and their Applications, (Bled, 2010), pp. 183-186. 2)Y. Une and M. Sagawa, J. Japan Inst. Metals 76 (2012) pp. 12-16.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究目的は、「Nd-Fe-B系焼結磁石の原料となる粉末サイズがサブミクロンオーダーであり、かつNd-rich相の付着率が良いNd-Fe-B系微粉末の作製」であった。焼結磁石用原料としては、最小サイズとなるサブミクロンオーダーのNd-Fe-B系微粉末の作製には成功した。しかし、同粉末のNd-rich相の付着率は既存粉末に比べて悪いことが明らかになり、現在はNd-rich相の付着率を改善する方法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはNd-rich相の付着率に優れており、かつ粉末サイズがサブミクロンオーダーのNd-Fe-B系徹粉末を作製する。具体的には、二通りの方法を考えている。ーつはサブミクロンオ一ダーの粉末の表面に蒸着法などを用いてNd系合金を添加する方法。もう一つは、粉砕前のHDDR合金にNd系合金を粒界拡徹法により添加してから微粉砕する方法である。Nd-rich相の付着率に優れた微粉末の作製に成功したら、同粉末を用いて2T以上の高保磁力を発現する焼結磁石の開発に挑戦する。原料粉末がサブミクロンオーダーであり、なおかつ表面に付着しているNd-rich相が非常に酸化しやすいため、焼結磁石の作製(配向助剤混合、容器への充填、磁場配向、焼結)は全て活性雰囲気(低酸素Arガス)中で行うことを検討している。
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