2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江崎 貴裕 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 群集運動 / ネットワーク輸送 |
Research Abstract |
昨年度は国内での研究発表6件、国際会議での発表1件、国際ジャーナルへの投稿論文2本、国内の専門誌への解説記事(査読あり)1本が受理された。また、国内の研究集会「平成25年度九大応力研共同利用研究集会 非線形波動研究の拡がり」では最優秀ポスター発表賞を受賞することができた。 人間の群集運動の実験の専門家であるMohcine Chraibi氏やMaik Boltes氏らが我々の研究室に滞在し、共同で実験を行う機会に恵まれた。また、研究の一部を共同で行うこととなり、議論のためドイツに2週間程度滞在した。これにより、人間の動きを画像から抽出する技術(PeTrackと呼ばれるトラッキングソフトを用いる)を学び、それをどのように処理、評価するかについて議論を深めることができた。また、その結果およびこれまでの成果を、群集運動の分野で最も権威のある国際会議"Traffic and Granular Flow"にて発表した。 一方、ネットワーク上の流れを記述する理論的な枠組みの整備にも進展があった。ネットワークを構成するノードの一つ一つ(群集運動の場合は部屋の一つ一つがこれに対応する)のダイナミクスを、そこにおける人の密度の関数として粗視化した。これにより、各ノードにおける流れがそれぞれの密度の時間変化を決める微分方程式のシステムに書き換わった。このシステムの定常的な流れに微小な擾乱を加えた時の時間発展を考えることで、ローカルな渋滞現象(密度と流れの関数関係の性質)がグローバルな渋滞現象(ノードごとに密度が大きく不均一化する現象)を引き起こすということが理論的に証明できた。今後はこれをより精緻化させて行き、人間ならではの要因を統合し、より現実に即した形に発展させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験ではドイツのグループによる支援を得ることができ、予定よりも順調に解析を進めることができた。また、理論面でも進展があり、基礎部分の大半の部分を完成させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
人間の空間分布をボロノイ図を用いて評価する手法により、どこが混雑しているか、またどこが有効に使われていないか、そして、人間の行動心理としてなぜそのようになるのかがわかってきた。今後、不均一性を表す指標であるジニ係数や、人の動き同士の相関係数といった定量的な値について詳細に調べ、それらをまとめて論文として発表する予定である。また、その後、理論的な枠組みをそれに合わせて拡張する。
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Research Products
(10 results)