2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江崎 貴裕 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ネットワーク / 非線形輸送 / 群集運動 / 交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究を発展させ、ネットワーク上の流れ一般を記述するマクロなモデルを完成させた。このモデルは人間の群集流れだけでなく、道路網や航空網といった様々なネットワーク上での輸送現象を一般的に記述する数理モデルである。このモデルを解析することにより、全体の流れが自発的に不安定化し、ネットワークの一部に集中する「マクロな渋滞現象」が発生しうることを示した。これは流れを記述する微分方程式の分岐現象と対応がつく。それに加え、モデルの非定常的な振る舞いを実際のネットワークを利用して分析した。これによりネットワークの一部分が「他の部分とどれだけ良くつながっているか」という指標でダイナミクスの一部を理解することができた。この結果は米国物理学会論文誌Physical Review E誌に掲載された。 そうしたマクロな渋滞現象の理解から、それを緩和するために、流れを分散化させる制御を着想した。これは混雑しているノードに対して流入しているリンクを一時的に閉鎖し、そのノードが渋滞から回復した時点でもう一度繋ぎなおすというものである。このような制御を行うことにより、適切な制御下ではマクロな渋滞現象が生じていないレベルにまでネットワーク流量を回復できることが示された。また、不適切な方法で制御を行うとネットワーク全体が閉鎖してしまう危険性があることがわかった。このような「いつどのような制御をすればよいか」については理論的に明らかにすることに成功しており、実社会における渋滞緩和への指針を与える結果である。これらの結果は現在Journal of Statistical Mechanics誌において掲載審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初3年目に予定していた「マクロなネットワーク上の輸送現象」に関して明らかにすることができた。今後これをもとに実社会応用に向けた研究に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はここまでで得られた知見を現実の社会に応用するため、規制や制御方法を含めた「ルールを策定するために」はどうすればよいか、またそれに必要な細かいモデリングや分析を行っていく予定である。こうしたルールを策定するために法律や経済学といった幅広い視点を含めた研究を行う。
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Research Products
(3 results)