2014 Fiscal Year Annual Research Report
分子プローブ型キラルデンドリマーアミン配位 Gd-MRI 造影剤の合成と機能評価
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13J05096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三宅 由花 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MRI造影剤 / ガドリニウム / デンドリマー / キラリティー / PEG / BSA / EPR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高い造影能と“がん”への集積性を併せ持つ概念的に新しい“分子プローブ型デンドリマー Gd-MRI 造影剤” の創製を目的として研究を行っている。 平成 26 年度は、末端ポリアミノアルコール型キラルデンドリマートリアミン配位 Gd-MRI 造影剤のさらなる高機能化を目的として、アミノ基をトリガーとするポリエチレングリコール鎖(PEG、平均分子量 5,000)、および代表的なタンパク質であるウシ血清アルブミン(BSA、約 66.000 Da)の導入に成功した。 7 T の小動物実験用 MRI 装置を用い、合成した一連の新規造影剤の in vitro での 1H 緩和能を評価した。その結果、ポリアミノアルコール型キラルデンドリマートリアミン配位 Gd-MRI 造影剤にPEG鎖を導入した新規造影剤(1)、BSAを導入した造影剤(2) は、臨床用 Gd-MRI 造影剤である Magnevist;(r1 = 4.1 mM-1・sec-1)の約13 倍、25 倍となる高い 1H 緩和能(r1 =52.6 (1)、103 (2) mM-1・sec-1)を有することが明らかとなった。 一方、末端にアジド基を有するポリアジドアルコール型キラルデンドリマートリアミン配位子の合成を行った。合成した配位子のアジド基を利用し、末端プロパルギル基を有する PEG 鎖を導入するため、銅触媒を用いる Huisgen cycloaddition(Click Chemistry)について検討した。銅触媒、配位子、還元剤、および溶媒等について検討を行ったが、現在のところ Huisgen Cycloaddition には成功していない(no reaction)。この原因としては、ポリアジドアルコール型キラルデンドリマー配位子のコアである 1,4,7-triazacyclononane が銅触媒に強く配位することにより、触媒失活が起こったことが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進展している。末端ポリアミノアルコール型キラルデンドリマートリアミン Gd-MRI 造影剤にPEG鎖やBSAを導入し、さらに高感度かつ高機能なGd-MRI造影剤の合成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPEG鎖やBSAを導入した新規造影剤の担癌マウスを用いた in vivo MRI を撮像し、体内動態とがんへの集積能を明らかにする。さらに末端アミノアルコール型造影剤に乳癌特異的抗 HER2 抗体を導入した新規造影剤の合成を行う。 これまでに合成したポリアミノアルコール型造影剤あるいはマレイミドを有するポリオール型造影剤にポリエチレングリコール(PEG)鎖を導入した造影剤の EPR 効果による受動的ターゲティング機能を、一方、乳癌特異的抗 HER2 抗体を導入した造影剤の能動的ターゲティング機能をマウスを用いる in vivo 実験により明らかにする。最終的には、受動的あるいは能動的ターゲティング能を有する造影剤の絞り込みとさらなる改良を繰り返すことにより、本研究の最終目的である“分子プローブ型キラルデンドリマーアミン配位 Gd-MRI 造影剤の合成と機能評価” を達成する。さらに最も高い感度と機能(癌集積性)を有し、最も毒性の低い造影剤について大量合成法を確立し、非(前)臨床試験への移行を判断する。
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Research Products
(5 results)