2013 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化プロテオームによる孔辺細胞青色光情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
13J05118
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋山 麻美 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 気孔孔辺細胞 / リン酸化プロテオーム / フォトトロピン / シグナル伝達 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
青色光依存の気孔開口は受容体キナーゼであるフォトトロピンを始点としたリン酸化シグナル伝達によって引き起こされる。本研究では青色光依存的な気孔開口に関わる新規因子を探索するため、孔辺細胞を材料としたリン酸化プロテオーム解析を行った。本年度はまず、孔辺細胞から抽出したタンパク質を用い、ショットガン法を用いたリン酸化プロテオームを行った。まず、既知のリン酸化タンパク質であるフォトトロピン及び細胞膜プロトンポンプのリン酸化を確認したところ、青色光に依存したリン酸化が観察できたことから、同様に青色光によってリン酸化されるタンパク質を探索した。その結果、青色光及びフォトトロピンに依存してリン酸化されるタンパク質を多数同定した。次に、これら候補タンパク質をコードする遺伝子にT-DNAが挿入された変異株を検索し、入手可能であったラインの青色光依存的な気孔開口の表現型を確認した。その結果、気孔開口反応を大きく欠くような変異体は見つからなかったが、重複して作用する因子の存在が想定されるため、研究実施計画の通り、多重変異体の作出をおこなった。その結果、青色光に依存して再現良くリン酸化されるキナーゼと、最近縁のキナーゼの二重変異体において、青色光に依存した気孔開口が大きく損なわれていることを観察した。また、この二重変異体の孔辺細胞を単離し、細胞膜プロトンポンプの活1生を測ったところ、青色光に依存したプロトンの放出は野生株と同程度であった。この結果より、この二重変異体では細胞膜プロトンポンプの活性化とは別の経路によって気孔の開口が損なわれていることが示唆された。今後はこの二重変異体で気孔が開かなくなる理由を明らかにするための実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、リン酸化プロテオームの追試及び変異体の気孔表現型解析を行うことが出来た。また、複数のラインに関しては多重変異体に関しても解析可能なまでに用意が整いつつある。先行的に解析を行っているキナーゼの二重変異体については気孔開口に関する表現型解析が進んでおり、来年度には詳細な機能解析に着手できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通り、多重変異株を用いて気孔の開口を確認していく予定である。また、リン酸化修飾の機能的役割を明らかにするため、アミノ酸配列置換のラインやリン酸化残基特異的抗体を用いた実験を進めていく予定である。
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Research Products
(5 results)