2013 Fiscal Year Annual Research Report
白亜紀OAE-2期に生じた特異的炭素同位体比イベントの駆動要因の検証
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13J05170
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
根本 俊文 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | OAE2 / 分子レベル炭素同位体比 / バイオマーカー / 白亜紀 / セノマニアン / チューロニアン / 蝦夷層群 / 陸上高等植物 |
Research Abstract |
本研究では① : Nemoto and Hasegawa (2011)によって報告された北海道蝦夷層群のNSP層準付近に含まれる有機化合物の構成比, 及びそのδ^<13>C・δD分析から陸域環境の情報を抽出し, NSPとの関係性を明らかにすること, ② : NSPイベントの空間的スケールを把握することを目指した. 目的①を達成するため, NSP層準を含めて37試料を選別し, GC及びGC-MSを用いてバイオマーカー分析を行った. また, その内30試料についてはGC/C/IRMSによる分子レベルδ^<13>C測定を行った. 陸上植物バイオーマーカーの層序学的変動パターンから, NSP層準において針葉植物指標バイオマーカーの構成比が急激に低下するという結果を得た. これは後背地において被子植物優勢の植生変化が生じたものと考えられる. また, 長鎖n-アルカン(nC27, nC29, nC31)のδ^<13>Cは上述したバイオマーカーの変動と同じタイミングで生じており, これは植生の変化(相対的な針葉樹の減少)と関連した同位体比変化だと推察される. その変動期間は先行研究のバルクδ^<13>Cから推定されていたよりも短期的なイベントである可能性が示唆された. 目的②を達成するため, 欧米域と同様のδ^<13>Cイベントが報告されている, 北海道大夕張地域白金川及び南半球高緯度地域としてニュージーランドSawpit Gullyセクションにて高時間解像度での地質調査を行った. その結果, Nemoto and Hasegawa (2011)と同様の時間解像度で試料を採取する事に成功し, NSPを含めたOAE2期のδ^<13>Cイベントについて環太平洋域といった枠組みでの議論を可能にする土台を構築するに至った. 平成25年度の研究計画においてはASE350を用いた抽出メソッドの確立とNSP層準のバイオマーカー構成比の層序学的記載を予定していたため, これら成果は当該年度の研究計画を一定以上達成したと思われる. この後背地における植生の変化及びδ^<13>C変動が温暖湿潤化を反映したものか否かについては長鎖n-アルカン類の水素同位体比を測定し, そのタイミングと変動期間についてδ^<13>C記録とバイオマーカーの層序学的記録とを突き合わせて議論していく必要が有る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画においてはASE350を用いた抽出メソッドの確立とNSP層準のバイオマーカー構成比の層序学的記載を予定していたため, 研究実績欄で述べた成果は当該年度の研究計画を一定以上達成したと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究計画においてはOAE2期における炭素同位体比変動と火成活動(LIPS)との関連性を調査するため, カナダのブリティッシュコロンビア州にて地質調査を行なう予定であったが, 研究代表者の諸事情により行なう事が出来なかった. これに関しては来年度に受入研究者である長谷川卓教授と打ち合わせを行なった上で, 早急に調査計画を立てる必要が有る. 分析に関しては当初の研究計画よりも早く進んでいるため, 継続して分子レベルのδ^<13>C・δD分析を行なっていく.
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Research Products
(1 results)