2014 Fiscal Year Annual Research Report
被災写真救済の取り組みを事例とした包括的メディア理論の構築および実践
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13J05218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝口 佑爾 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / ボランティア / 復興支援 / 情報社会 / ネットワーク / グローバリゼーション / メディア / 社会構築主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究課題1「思い出サルベージを事例とした分析」に関して】宮城県亘理郡山元町での被災写真救済活動「思い出サルベージ」について、一次資料の整理、参加したボランティアへのアンケート調査、写真を持ち帰った被災者へのインタビューを行った。また、5月にはボランティアとの連携を行った組織への調査として、宮城県亘理郡山元町役場にて担当職員へのインタビューおよび陸上自衛隊豊川駐屯地(愛知県)での自衛隊幹部へのインタビューを行った。 【研究課題2「被災写真救済活動全体を事例とした分析」に関して】写真救済活動初期の同時多発的な発生、中期のガラパゴス的な展開、および写真救済サミット以後の各段階について、関連する自治体・団体を調査し、比較検討した。具体的には、7回にわたって関連団体を訪問し、資料収集、活動記録の作成、活動代表者や一般ボランティアスタッフへのインタビュー調査、およびアンケート調査を行った。 【研究課題3「被災写真の保存活動への<メディア>理論の応用」に関して】<メディア>に関する理論的考察の応用として、山元町役場危機管理室「思い出アーカイブ事業」の委託のもとで、被災写真の保存活動に取り組んだ。 【研究成果のアウトプットについて】以上の研究成果を、社会情報学会および East Asian Junior Sociologists Forum にて報告した。『社会システム研究』および『災後の社会学』にて論文として報告した。また、博士論文「情報化社会における災害ボランティアの一様態:被災写真救済活動を事例として」にまとめ、学位(人間・環境学)を得た。また、龍谷大学でのゲスト講義のほか、一般市民に向けたアウトリーチ活動も積極的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、(A)被災写真救済活動の「同時多発性」をメディアの視点から読み解くこと及び(B)社会システムにおける情報とメディアの包括的な理論を構築することである。26年度は、主に目的(A)について被災写真救済活動を行っている団体への調査を精力的に行いつつ、目的(B)について博士論文の作成を通じて一定の見通しを得た。そのため、当初の計画と比して、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き被災写真救済活動についてのフィールドワークやアンケート調査を行いながら、国内外でのアウトプット、および調査結果全体について報告書にまとめる予定である。
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