2014 Fiscal Year Annual Research Report
内部アルキンのビニリデン転位とその応用に関する研究
Project/Area Number |
13J05361
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
池田 洋輔 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ビニリデン錯体 / ビニリデン転位 / 内部アルキン / 1,2-挿入 / 1,1-挿入 / イリジウム / C-C結合活性化 / C-H結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
内部アルキンのビニリデン転位反応を一般的な化学反応として確立すべく、本年度はこの反応に適用できる錯体部分の展開を試みた。 これまでに、[CpRuCl(dppe)]や[Cp*IrCl2(PPh3)]などの錯体上において内部アルキンのビニリデン転位を進行させることに成功している。そこで今回、それらの錯体と類似した骨格をもつモリブデン錯体[(η7-C7H7)MoBr(dppe)](1)と内部アルキンの反応を検討した。その結果、1上においてアシルアルキンがビニリデン転位することが判明した。一方、アシル基を持たないアルキンではビニリデン錯体は得られなかった。適用できる基質に制限はあるものの、この反応は6属金属錯体上で内部アルキンのビニリデン転位が進行した初の例である。 これまでの研究結果から、錯体上に炭素置換基が存在する場合内部アルキンは金属―炭素間に優先的に1,2-挿入してしまい、ビニリデン転位は起こらないことがわかっている。そこで次に、この二つの反応間の優先度を制御できないか検討した。新たに合成した[Cp*IrCl(ppy-F4)] (2) (ppy-F4 = 2,3,4,5-tetrafluoro-6-pyridylphenyl) とジフェニルアセチレンを反応させたところ、9 員環キレートを持つビニルアリール錯体が選択的に生成した。生成物の構造から、この反応ではまずビニリデン転位によってジフェニルビニリデン中間体が生じた後に、ビニリデン配位子の Ir-Ar 間への 1,1-挿入、続く Ir 中心のフェニル基のオルト位への 1,4-転位が起こったことが判明した。この結果は、内部アルキンのビニリデン転位と1,2-挿入の優先度が制御可能であることを示すものであり、本転位反応をさらに展開していく上で重要な成果といえる。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)