2014 Fiscal Year Annual Research Report
提示コンテンツのデザイン構造を用いた視線運動の意味理解
Project/Area Number |
13J05396
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 惠理奈 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視線運動 / 意思決定過程 / ユーザ状態推定 / 選択支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,申請書に記載した研究計画のうち(1)視線データの収集,(2)デザイン構造を利用した視線解析手法の深化,の2点を中心として研究を進めた. まず(1)について,いくつかの商品情報を含むカタログをユーザが閲覧しているといった状況を想定し,被験者実験を通してカタログから商品を選択する過程の視線データを収集した.前年度に行った視線計測実験では,商品カテゴリによるグループ分けのみを考慮したシンプルなデザインのデジタルカタログを用いていたが,今年度の実験では,カタログのデザイン構造と閲覧行動の関係性を調べるため,より多様なデザイン構造を持つカタログを用いた.具体的には,あらかじめ分類したコンテンツを構成する要素(画像や文章)の並列,対比といったデザイン的な関係性を複数組み合わせたデザインを持つカタログを複数種類用意した.カタログ閲覧行動としては,具体的に「商品情報を獲得している」,「商品を比較吟味している」,「自由に閲覧している」という3種類のフェーズを想定し,実験参加者にタスクを与えてコンテンツを閲覧させることで各フェーズと視線データを対応付けるという方法をとった. 次に,(2)について,前年度において,コンテンツを構成する要素の並列,対比といったデザイン的な関係性を知識源として利用し,観測されるユーザの注視対象の移り変わりパターンを特徴づけ,その視線パターンを統計的に学習することでカタログ閲覧時のユーザ状態を分離する視線解析の枠組みを提案した.この枠組みをさらに深め,視覚的コンテンツのデザインの構造を,コンテンツデザイナーの意図を反映した高次の意味的構造と空間的レイアウトといった実際のコンテンツの「見た目」に関する情報とに分けて視線パターンの特徴化に用いることで,より詳細な視線の解析を行えることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年4月,前年度までに収集した視線データ解析の結果,データに想定より多くのノイズが含まれていることがわかった.研究遂行上,このノイズを除去する必要があるため,光源環境を統制するなど計測環境の再構築,及び実験手順の見直しの後,再実験を行う必要が生じた.そのため,平成26年度の前半においては,主に視線データ収集のための実験環境の構築および実験デザインの検討に精力的に取り組み,提案する視線解析手法を深化するための議論を行った.予定より若干の遅れがあったものの,平成26年度の後半においては,前半で収集した視線データを用いて提案する視線解析手法の評価を行い,ここでの成果は平成27年に電子情報通信学会の英文論文誌に掲載された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は, さらなる視線データの収集,および視線と心的状態の確率的な関係のモデル化,を中心として研究を進めた.
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