2014 Fiscal Year Annual Research Report
音声コミュニケーションの放散進化:カラス科2種をモデルとした比較研究
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13J05437
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
近藤 紀子 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カラス科 / ハシブトガラス / 社会性 / 順位 / 音声コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ハシブトガラスの社会的順位と発声頻度との関係を調べ、論文執筆をおこなった。雌雄5個体ずつからなる群れを観察し、順位関係を明らかにするとともに、順位が発声行動に与える影響を調べた。音声をコンタクトコール(kaコール)と連続コールで分類して調べたところ、コンタクトコールの発声頻度に順位の影響はみられなかったが、連続コールはもっとも順位の高い個体が高頻度で発していた。連続コールは自分の順位の高さを周囲に伝える機能をもつ可能性が示唆された。この結果は、鳥学の専門雑誌Journal of Ornithologyに投稿し、受理された。 (2)飼育下のハシブトガラスについて、建造物を利用して音声を反響させている行動の観察をおこなった。飼育ケージの屋根部分に向かって発声をおこなうという行動が飼育下のカラス1羽で見られたため、反響を利用することで音声の増幅をおこなっているのではないかと考え、どのような鳴き声のときに、どれくらいの頻度で屋根に向かって鳴いているかを観察した。4か月間で50回の観察をおこなった結果、1960回の発声行動がみられ、うち334回が屋根に向かって鳴いていた。鳴き声別にみると、コンタクトコールは185回記録されたにもかかわらず、1回も屋根に向かって鳴いていなかった。これらのことから、このカラスは長距離のコミュニケーションで使われる連続コールで積極的に反響を利用し、音圧の増幅をはかっているのではないかと考えられる。 (3)ニューカレドニアガラスについて、生態の観察をおこなった。立教大学のニューカレドニア調査チームに同行し、ニューカレドニア本島およびマレ島においてニューカレドニアガラスの観察をおこなった。現地ではカレドニアガラスの音声の録音をおこなったが、録音数が少なく、音響解析をおこなうためにはサンプル数を増やす必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文が受理されたことと、ニューカレドニアでの調査が実行できたため、おおむね順調と判断した
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Strategy for Future Research Activity |
ニューカレドニアガラスについての研究については引き続きおこなう。1年目におこなった八重山諸島でのオサハシブトガラスの実験を完了させる。また、論文執筆も積極的におこなう。
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Research Products
(3 results)