2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05462
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齊藤 英一 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | モーションコントロール / 外乱オブザーバ / 振動抑制制御 / むだ時間補償 / 微細制御 / 波動方程式 / 反射波除去 / システム統合 |
Research Abstract |
近年、音声や画像といった聴覚・視覚情報に加え、触覚情報の伝達を行うといった試みがなされている。感覚情報の伝送によって操作者は遠隔地の情報を知覚できるため、これらの技術により人間の行動空間が拡張されるといえる。さらに触覚情報の伝送においては触覚情報のスケーリングが可能であり、人間の行動範囲を微細空間へと拡張するマクロマイクロスケール変換を伴う感覚伝送の研究が行われている。しかし、微小領域において高精度にモーションコントロールを達成するためには、センサ遅れ等のむだ時間や機械共振による振動現象によって制御帯域や精度が制限されてしまう。したがってこれらの振動抑制を行うことが必要不可欠である。本研究では微細領域において高精度制御を達成するために、研究代表者らが従来研究にて提案した波動システムの振動抑制制御理論の深化を行った。具体的には従来研究において機械共振系を波動方程式でモデル化したことと同様に、入出力にセンサ遅れ等を含むむだ時間系に対して時空間が考慮されている波動方程式を用いた等価変換を行った。その結果、むだ時間系においても機械共振系と同様の構造である位置入力システムと波動伝播システムで構成されることを導出し、さらに振動発生の原因は反射波であることを示した。そして反射波を取り除くため、むだ時間系における反射波推定器とフィードフォワード補償器を用いた反射波除去手法を提案した。この研究成果はむだ時間系と機械共振系が等価性を持っことを示しており、理論が一般化されたという点で非常に意義は高い。また、この等価性を用いむだ時間系に共振系の振動抑制手法である等価弾性力フィードバックを導入した振動抑制制御を行い、スミス補償等のむだ時間補償と比較して外乱に対するロバスト性が高い制御を提案した。以上のように本年度は微細領域における感覚伝送の基盤技術に関して研究を行い、実験により有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画であった時空間を考慮した分布定数系である波動方程式に基づく振動抑制制御を達成し制御目標の精度を向上させたことに加え、研究計画当初想定されていなかったむだ時間補償と機械共振抑制の等価性を示したことから、当初の計画以上に進展しているといえる。これらの研究成果は電気学会主催の国内学会発表にて報告および議論を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究においては微細空間におけるモーションコントロールの基盤技術に関する研究を行ったが、時間・空間ともに連続系であることを前提として理論展開を行っており、センサの分解能や時間サンプリングなど時空間の分解能が考慮されていない。特に微細領域においてはマクロ領域では無視することができた空間の分解能が相対的に大きくなるため、この影響を考慮する必要がある。したがって平成26年度の研究においては時空間の分解能が制御系に与える影響を波動システムの観点から明らかにし、波動システムの振動抑制制御を時空間の連続系から離散系へと拡張する。導出された理論に関しては実機を用いて検証を行う予定である。
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Research Products
(1 results)