2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05462
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齊藤 英一 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モーションコントロール / 外乱オブザーバ / 振動抑制制御 / むだ時間補償 / 微細制御 / 波動方程式 / 反射波除去 / システム統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、マスタ・スレーブ型ロボットを用いて触覚情報のリアルタイム伝送・再現を行うといった試みがなされている。触覚情報の伝送において位置・力情報を増幅することで、人間の行動範囲を微細空間へと拡張するマクロマイクロスケール変換を伴う感覚伝送の研究が行われている。しかしながら、マクロマイクロスケール変換を伴う感覚伝送においては、モーションコントロールの基本である位置・力制御の高精度化が要求されるため、機械共振やむだ時間により生じる振動に関して十分考慮する必要がある。 本研究では微細領域において高精度制御を達成するために、機械共振・むだ時間系を波動方程式によりモデル化し、制御対象に含まれる反射波を除去することで振動抑制を達成する。本年度は主に波動システムの制御理論の深化および波動システムのロバスト化に関する検討を行った。まず、機械共振とむだ時間が混在するシステムにおいて反射波の推定の高精度化および反射波の補償法に関して明らかにした。提案手法において負荷位置の取得を前提としていたが、モータ位置の取得のみで振動抑制が可能な制御を開発し、提案する反射波除去に基づく波動システムの振動抑制制御の適用可能範囲を拡張した。また、時間・空間分解能により十分反射波補償の帯域が得られない状況についても解析を行い、反射は除去のノミナル値を修正する等の解決策を示した。一方、波動システムのロバスト化に関しては、波動システムにおけるパラメータ変動の影響を抑制するため、波動モデルに基づく負荷側外乱オブザーバと推定外乱に基づくパラメータ変動の補償法を明らかにした。また、提案する負荷外乱オブザーバは、二慣性共振系における負荷外乱オブザーバを無限次元系へと拡張したものであることを明らかにし、負荷外乱オブザーバによる補償の一般化がなされた。これらの研究成果はIEEEが主催する国際会議において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度における研究では機械共振・むだ時間統合システムの振動抑制制御、センサ分解能やサンプリング周波数による反射波除去の劣化に関する補償、波動モデルに基づく負荷外乱オブザーバの創成を達成することができた。特に、提案する負荷外乱オブザーバは従来の二慣性共振系における負荷外乱オブザーバを無限次元系である波動系へと拡張したものであり、振動抑制制御分野の深化に貢献できたと考えられ、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究においては、反射波除去による振動抑制理論の深化が行われたが、バイラテラル制御に組み込んだ際のモード空間における干渉等は十分考慮されているといえない。したがって、次年度は反射波除去の補償の帯域、モード空間における位置・力制御の干渉、各制御パラメータの影響などを総合的に考慮した微細領域における高精度感覚伝送制御のシステムデザイン論の創成に取り組む予定である。
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Research Products
(4 results)