2013 Fiscal Year Annual Research Report
超高速超音波イメージングによる心臓内血流動態の高精度・高空間分解能計測の研究
Project/Area Number |
13J05479
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 広樹 東北大学, 大学院医工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 心臓超音波 / 血球エコー / 血流速度ベクトル / 高フレームレート / 符号化励起 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 血球からの超音波エコー信号の動きおよびエコー信号の動きから推定される血流速度ベクトルを画像化することによって, 心臓内の血流の定性的および定量的な情報を可視化するための手法を開発することである. 本研究では, 血球からのエコーを連続的に可視化するために, 高フレームレート計測法を適用する. また, 血球からのエコー信号のS/Nは非常に小さいため, 送信超音波パルスを符号化することでS/Nを改善する. 本年度は, 送信超音波パルスの符号化における適切な符号の決定, 血球からの超音波エコーの高フレームレート計測法の問題点の発見, およびその改善手法の開発を行った. 単一の符号を用いて符号化する手法と比べて, 複数の符号を用いる手法は圧縮効率の点で有利である. しかし, 複数回の送信を必要とし, 送信間の対象物の動きが送信超音波の波長に対して大きいほどその圧縮効率は劣化する. 心臓内の血球は1m/sに達する速度で運動するため, 送信間(数百μs)で送信超音波の波長(約400μm)の2分の1に達する距離を動く. 心臓内の血球エコーの効率的な圧縮のために, 単一の符号を用いた符号化を適用することを決定した. 高フレームレート超音波イメージング法は, 広範囲をカバーする送信音場を形成し, 受信時に異なる方向に指向性を向ける複数の超音波ビームを形成する. 従来は送信間で得られるエコー信号を合成していたが, 送信間の血球の動きが大きいため, 血球からのエコーが相殺されることが分かった. そこで, 血球エコーの相殺を抑えるために, 送信毎にエコーの位相情報を除去した後で合成する手法を開発した. 提案手法を用いて流速ベクトルを推定することで管状流路内に流れる疑似血液の流量を評価したところ, 従来のエコー信号合成法と比較して推定精度を大きく向上させることができた. 開発した新しい信号合成法は, 血球エコーを相殺することなく高フレームレートで可視化することを可能にする点で価値がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血球エコーのSINを向上させるための符号化送信法の検討および血球エコーの相殺を抑制した信号合成法を用いた高フレームレート可視化法の開発を行った. 提案手法を用いて, 心臓の血球エコー像および血流ベクトル分布において心臓から拍出および流入する血流が可視化することができたため, 順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目的は, 血球エコーとともに, 血流速度ベクトルおよび流線といった定量的情報を可視化することである. しかし, 管状流路内の疑似血液が流れる方向に対する本手法の方向推定誤差は20%を超える高い値が計測されている. そこで, 今後の推進方策として, 血球エコーを用いた高精度血流ベクトル推定法の開発を行う. また, 得られた血流速度ベクトル分布を用いた流線の推定方法について検討を行う.
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