2013 Fiscal Year Annual Research Report
ビフィズス菌による腸管上皮-T細胞間相互作用の制御に基づく腸炎抑制機構の解明
Project/Area Number |
13J05482
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮内 栄治 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ビフィズス菌 / 共刺激分子 / 大腸炎 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
これまでの研究により、腸管上皮細胞が発現するCD40分子が、腸管上皮-T細胞間相互作用において重要な役割を果たしていることを確認している。今回、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性大腸炎モデルマウスにおいて、大腸組織におけるCD4+IL-17A+細胞が増加することを確認した。また、大腸炎マウスの腸管上皮細胞がCD4+T細胞からのIL-17A産生をCD40依存的に誘導することを確認した。 Bifidobacterium logumをマウスに経口投与した場合、CD4+IL-17A+細胞の増加、CD40発現の増加が抑制されるとともに大腸炎が抑制された。 コンベンショナル環境下で飼育したマウスではDSS投与により腸管上皮CD40発現増加は確認できたものの、SPFおよび無菌環境下で飼育したマウスではCD40発現は確認出来なかった。このことから、ある種の腸内細菌がCD40発現増加に寄与していることが考えられた。そこで、コンベンショナルマウスの糞便を無菌マウスに投与し、腸内細菌叢を移植したexGFマウスを作製した。その結果、DSS投与に腸管上皮CD40のmRNA発現増加を確認することができた。一方、SPFマウスの糞便を無菌マウスに投与し同様の試験を行った場合、CD40発現増加は確認できなかった。このことから、コンベンショナルマウスの腸管に存在するある種の菌が、上皮CD40発現増加に関与していることが示唆された。 そこで、コンベンショナルマウスおよびSPFマウスの糞便中腸内細菌叢を16S rDNA pyrosequencingにより解析した。Unifrac法の解析により、両者の腸内細菌叢は大きく異なることが確認できた。また、コンベンショナルマウスの方が大腸炎発症による腸内細菌叢の変動が大きいことが明らかとなった。現在、これらのメタデータ解析を進め、腸管上皮CD40発現増加に関与する菌の特定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、Bifidobaciterium longumが腸管上皮CD40発現を制御することにより、腸管CD4+IL17A+細胞の増加を抑制し、大腸炎を抑制することを確認できた。また腸管上皮CD40発現にある種の腸内細菌が関与しているという新たな知見を得ることができた。ビフィズス菌の活性メカニズムとして、これらの腸内細菌制御が関与していることが考えられ、今後の解析に繋げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
腸管上皮CD40発現増加に関与する腸内細菌の特定を行う。また、腸管上皮特異的CD40KOマウスを無菌化し、これらのマウスにコンベンショナルマウスの腸内細菌を移植する。このマウスを用いて、大腸炎における腸管上皮CD40の役割を明らかにする。さらに、ビフィズス菌複数株の大腸炎抑制効果、および腸管上皮共刺激分子の発現制御効果を評価する。これらの結果をもとに、活性を有する菌株、有さない菌株の絞り込みを行う。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Commensal microbe. derived butyrate induces the differentiation of colonic regulatory T cells2013
Author(s)
Yukihiro Furusawa, Yuuki Obata, Shinji Fukuda, Takaho A. Endo, Gaku Nakato, Daisuke Takahashi, Yumiko Nakanishi, Chikako Uetake, Keiko Kato, Tamotsu Kato, Masumi Takahashi, Noriko N. Fukuda, Shinnosuke Murakami, Eiji Miyauchi, Shingo Hino, Koji Atarashi, Satoshi Onawa, Yumiko Fujimura, et al.
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Journal Title
Nature
Volume: 504
Pages: 446-450
DOI
Peer Reviewed
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