2014 Fiscal Year Annual Research Report
電気系/機械系マルチフィジックス・シミュレーション技術の基盤形成に関する研究
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13J05488
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
關根 惟敏 静岡大学, 創造科学技術大学院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マルチフィジックス / 電気系シミュレーション / 機械系シミュレーション / アイソジオメトリック解析 / CAD / NURBS / 大規模問題 / 高速解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
具体的内容:機械系の構造解析や流体解析の分野で近年提案された「アイソジオメトリック解析」を,電気系の静電界解析に応用する手法を提案しました.提案手法により,車載電子機器を相互接続するためのワイヤーハーネスやフレキシブル基板の配線を想定した,曲線導体の静電界解析において,従来法が用いる変数の数に対して数パーセントの変数のみで同等の精度の解析を行えることを示しました.また,複数の物理現象を扱うマルチフィジックス・シミュレーションでは,解くべき問題が大規模になりやすいため,大規模な偏微分方程式を効率的に解く方法が必要となります.これに関連して,従来の陽的解法の欠点であった数値的不安定性を取り除くことで高速な解析を行える「安定化陽解法」を提案しました.安定化陽解法により,数万~十万変数を含むプリント基板内の導体平行平板の解析において,従来のシミュレータと比較して約100倍の高速化を実現しました. 意義:アイソジオメトリック解析を機械系だけでなく電気系のシミュレーションにも応用することで,同種の解析手法を異なる物理現象に用いることができるため,マルチフィジックス・シミュレーションにおいて,それぞれの解析を同時に行いやすくなります.また,大規模問題を高速に解析する安定化陽解法は,設計・開発現場における実問題を現実的な時間内で検証するためには必須であり,実用的な新規手法を提案できたと考えます. 重要性:機械系の分野で提案されているアイソジオメトリック解析を電気系の静電界解析に応用したことは,機械系と電気系の両分野において斬新であり,画期的な進展が得られたと考えます.そして,異なる物理現象を統一的に解析する手法としてアイソジオメトリック解析を採用することは不可欠であり,その応用技術の実用化を目指すことで統合的解析技術の基盤形成へ貢献できると考えます.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で,今まで行われたことのなかったアイソジオメトリック解析による静電界解析を実現でき,基礎理論の理解や整理だけでなく,画期的な新規手法を提案できたと考えます.そして,大規模問題を高速にシミュレーションできる安定化陽解法は,従来法の欠点であった不安定性を取り除くという根本的な解決を行いました.また,それらの研究成果を国際会議に投稿するなど,着実に成果を実現できています.加えて,今後推進すべき方向性やその方策も検討ができているため,計画以上に進展していると考えます.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度提案した静電界解析におけるアイソジオメトリック解析では,扱える導体形状が比較的単純なものであったため,今後は複数の導体曲面を組み合わせることで,より複雑な形状を含めた解析を行う手法を提案します.具体的には,電気系・機械系の双方で用いられる有限要素法の一種であり,解析領域を分割しやすい「不連続ガラーキン法」とアイソジオメトリック解析を混合したアルゴリズムの開発を行います.これにより,複数の導体曲面を組み合わせた車体や人体といった対象を効率的に解析できると考えます.加えて,新規に提案した手法から得られる解析結果から,直感的な理解や分析を可能にするため,視覚的に分かりやすい表示を行える制御プログラムを実装します.
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Research Products
(6 results)