2013 Fiscal Year Annual Research Report
重合性蛋白質モノマーの精密設計に基づく環境応答性ナノ機能材料の創製
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13J05539
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松長 遼 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛋白質 / 自己組織化 / ナノバイオ / バイオマテリアル |
Research Abstract |
前年度までに重合性蛋白質Protein shackleの基本設計が完了し, その物性および反応機構を詳細に明らかにしてきた。 当該年度はまず前年度に引き続き、Protein shackleの物性および反応機構の解析を行った。変異体解析により、活性部位を覆う蓋の開閉に用いたジスルフィド結合の形成が重合活性を制御していること、および重合がイソペプチド結合形成による架橋に基づくものであることを確認した。円二色性偏光により、Protein shackleの単量体、重合体共にβシート構造を示唆するスペクトルが得られ、熱安定性は重合体の方が高いことが示された。以上の結果と前年度までの結果を総合して、Protein shackleの設計と反応・物性解析を完了しNature Communications誌に報告した。 次に、リビング重合するProtein shackleの設計を目指した。しかしながら、複数種類の変異体を設計し取得したものの、活性のスイッチとなるようなNドメイン変異体を取得するに至らなかった。 続いて、Protein shackleによる高次構造体創製のための分子設計を行った。Protein shackleポリマーの「側鎖」に架橋点を設けるため、互いに相互作用してコイルドコイルを形成するペプチド対をN末端、C末端に融合したProtein shackleをそれぞれ用意した。各蛋白質をそれぞれ重合させた後に混合したところ、粘度上昇ののちに速やかにヒドロゲルを形成した。以上の結果より、「側鎖」間の架橋によりマクロな高次構造体の創製が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次構造体の創製に向けた重合性蛋白質設計は当初の計画以上に進展し、分岐・架橋構造をつくりだす方法論の確立に成功した。一方で、リビング重合する蛋白質の設計も試みたが、そのような性質を有するような蛋白質を得ることはできなかった。以上を合わせて考慮して、このような評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果より、リビング重合する蛋白質の設計については大きな困難が予想されるため、高次構造体創製に向けた重合性蛋白質の設計と解析に注力する。架橋点を形成する相互作用蛋白質間をより特異性の高いものに変えた設計やProtein shackleと融合蛋白質間のスペーサーをより長く親水性の高いものに変えた設計を試み、反応性や物性の変化を多角的に解析する。その結果を基に、無機材料ペプチド等の機能性ペプチドを融合した高次構造体を創製する予定である。
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Research Products
(6 results)