2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05624
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
荒砂 茜 学習院大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 含水非晶質シリカ / 彗星 / 衝撃圧縮 / MgSi03 / シリカゲル / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、彗星が地球表面へ衝突する際の、彗星核中のシリケイトおよび水(氷)の挙動を明らかにすることを目的としている。彗星核のモデル物質として、水とシリケイト構造を有する含水非晶質シリカを用い、これらの物質について、彗星の地表衝突のアナログ実験として衝撃圧縮実験を行う。本研究で得られた成果は、彗星核中のアミノ酸の安定性や、水の宇宙起源、そして原子海洋形成などに関しても重要な情報を与えると期待される。 1. 平成25年度は、研究の初期段階として、シリカゲルを彗星のモデル物質として用いて衝撃圧縮実験を行った。この成果をふまえ、平成26年度は、さらに実際の彗星核の組成に近づけるため、Mgを含むシリカゲルの作成を行った。これにより、より鮮明かつ核心的な成果が得られると期待される。さらに、合成したMgを含むシリカゲルを電気炉で加熱し、結晶性のMgSiO3を得た。通常の水を含むゲルに加え、MgSiO3の結晶についても高圧高温実験を行うことで、より詳細にシリカのナノレベルでの構造変化について明らかにできると考えられる。なお、平成25年度に行ったシリカゲルの衝撃圧縮実験の成果については、国際学術雑誌に発表するための準備を行い、ほとんど完成している。 2. MgSiO3ゲルを加熱して得られた結晶については、20GPaまでの圧力で衝撃圧縮実験を行っており、回収した試料について粉末X線回折測定を行った。この結果、他のSiO2結晶の衝撃圧縮実験の先行研究と同様に、圧縮によってシリケイト構造の非晶質化が進んだ。しかし、20GPaまでの圧力では完全な非晶質化には至らず、強度の低下と半値幅の増加は見られるが、結晶性の回折ピークが確認できた。完全な非晶質化には、さらに高い圧力での圧縮が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、MgSiO3ゲルおよび結晶の衝撃圧縮実験を中心に行う予定であったが、平成26年6月から産休・育休を所得することから、当初の研究計画から10ヶ月程度遅れる。しかし、短期間ではあったが、産休前の4-5月には、平成25年度に得られた成果を国際学術誌に発表するための論文原稿の作成や、MgSiO3ゲルおよび結晶の合成、高圧試料の粉末X線による解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
育児休暇からの研究再開後は、引き続きMgを含むシリカゲルおよびこれらを加熱して得た結晶の衝撃圧縮実験および高温実験を行う。また、実験後の回収試料については、粉末X線回折測定に加え、ラマン・赤外分後法、TG-DTAなどを行い、より詳細な解析を進める。さらに、平成25年度から行っている、本研究のもう一つにテーマである珪藻殻の続生作用や沈み込み帯での高圧挙動を明らかにするためのシリカゲルの静水圧縮についても実験を再開する予定である。
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