2013 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生を実現可能な超音波血管治療法の提案と動脈硬化度診断支援システムの開発
Project/Area Number |
13J05651
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平野 陽豊 広島大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 動脈硬化 / 血管粘弾性 |
Research Abstract |
近年, 我が国において心血管系疾患や脳血管障害等の循環器に関する疾患による死亡者は全死亡者数の約30%に及んでおり, これらの主原因は動脈硬化であることが広く知られている. 動脈硬化は動脈が肥厚し硬化する進行性の症状であり早期発見が困難であるという特徴を有しているため, 有効な予防策および治療対策の確立は急務の課題であるが, 現在までに動脈硬化発生の詳細なメカニズムは解明されていないが, 血管内皮機能の衰えが動脈硬化進行の一因になることがこれまでに明らかになっている. 本研究では, 動脈硬化症の診断・治療・治療に対する評価を非侵襲で一貫して行えるシステムの実用化のための基礎検討を行う. 本年度は血管内皮機能検査法の一種である血流依存性血管拡張反応(Flow-Mediated Dilation : FMD)検査中における血管粘弾性特性の変化について計測を試みた. 具体的にはFMD検査中の血管径と動脈血圧を同時計測し, 一拍ごとに血管粘弾性特性を推定するという新たな評価法を開発し, FMD検査中の血管粘弾性特性の変化を明らかにした. 実験では, 健常者6名に対してFMD計測を行い, 超音波装置と連続血圧計を用いて, 血管径と動脈血圧の計測を行った. 計測データから血管粘弾性特性を推定した結果, 駆血前と比較して駆血後, 一時的に剛性値は減少し, 粘性値は増加傾向を示した. さらに, 駆血前後の各粘弾性指標の変化率と%FMDとの間に中程度の相関が得られたことから, 本指標を用いて%FMDに近い血管内皮機能評価ができる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに動脈硬化進行度計測については, 当初予定していた通りに研究を進展させることに成功している. 本年度ではFMD計測中の血管粘弾性計測に関する研究成果を発表することが出来た. 今後, 動脈硬化症の治療を非侵襲で行えるシステムの実用化を目指して今後引き続き研究を進展させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
超音波が血管に曝露された際における血管組織内の血管新生関連因子増加と曝露超音波の物理量との関連性について予測する方法を提案する. 具体的には, まず血管組織のみに対応するモデルを作成し, 放射超音波が血管に曝露された際に得られる圧力変化, 生体組織吸収エネルギー量, 温度変化等の様々な物理量を解析する. 次に実測で確認された血管新生関連因子増加量等のデータを比較し, 両者の因果関係を考察および両者を換算可能とするためのモデル式の開発を行い, 超音波の物理量が血管新生関連因子増加に寄与する機序を明らかにする.
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] 血流依存性血管拡張反応検査中の動脈壁粘弾性特性の推定2013
Author(s)
木原大輔, 平野陽豊, 平野博大, 栗田雄一, 鵜川貞二, 高柳恒夫, 森本陽香, 中村隆治, 佐伯昇, 東幸仁, 河本昌志, 吉栖正生, 辻口敏夫
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Journal Title
計測自動制御学会論文集
Volume: 49
Pages: 1029-1036
Peer Reviewed
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[Presentation] 対数線形化末梢血管粘弾性モデルを用いた電気刺激に対する自律神経活動評価2013
Author(s)
松原裕樹, 松岡玄樹, 福地智宏, 平野博大, 平野陽豊, 栗田雄一, 鵜川貞二, 中村隆治, 佐伯昇, 河本昌志, 吉栖正生, 辻敏夫
Organizer
第46回日本人間工学会中国・四国支部大会
Place of Presentation
広島市
Year and Date
2013-12-08
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[Presentation] オシロメトリック法に基づく血管粘弾性の推定2013
Author(s)
松本遼, 高間蓮成, 伊藤雅史, 平野博大, 平野陽豊, 栗田雄一, 鵜川貞二, 中村隆治, 佐伯昇, 河本昌志, 吉栖正生, 辻敏夫
Organizer
第46回日本人間工学会中国・四国支部大会
Place of Presentation
広島市
Year and Date
2013-12-08
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[Presentation] ezFMDを利用した下肢血管内皮機能評価2013
Author(s)
平野陽豊, 高間蓮成, 栗田雄一, 辻敏夫, 鵜川貞二, 高柳恒夫, 森本陽香, 中村隆治, 佐伯昇, 河本昌志, 東幸仁, 吉栖正生
Organizer
第36回日本高血圧学会総会プログラム・抄録集, p. 336.2013年10月, 2013.
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2013-10-24
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[Presentation] Evaluation of Arterial Stiffness During the Flow-Mediated Dilation Test2013
Author(s)
Harutoyo Hirano, Daisuke Kihara, Hiroki Hirano, Yuichi Kurita, Teiji Ukawa, Tsuneo Takayanag Haruka Morimoto, Ryuji Nakamura, Noboru Saeki, Yukihito Higashi, Masashi Kawamoto, Masao Yoshimizumi, and Toshio Tsuji.
Organizer
IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics 2013
Place of Presentation
Manchester, United Kingdom
Year and Date
2013-10-15
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[Presentation] A Log-Linearized Arterial Viscoelastic Model for Evaluation of the Carotid Artery2013
Author(s)
Harutoyo Hirano, Tetsuya Horiuchi, Abdugheni Kutluk, Yuichi Kurita, Teiji Ukawa, Ryuji Naka mura, Noboru Saeki, Yukihito Higashi, Masashi Kawamoto, Masao Yoshizumi, Toshio Tsuii
Organizer
The 35th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society
Place of Presentation
大阪市
Year and Date
2013-07-03
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