2014 Fiscal Year Annual Research Report
近世大神社の内部組織と神仏習合に関する研究-北野社を中心に-
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13J05670
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石津 裕之 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 北野社 / 曼殊院 / 御世話人 / 官位 / 門跡 / 国家祭祀 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、国家祭祀という側面から北野社について分析した。 まず、北野社=国家祭祀対象社を考える上での重要な作業として、北野社と朝廷の関係を考察した。具体的には、北野社と朝廷の媒介者であった伝奏としての曼殊院に注目し、改めてその実態解明を行った。その結果、曼殊院の門主は、世襲親王家から迎えられる宮であったが、その宮に付けられていた「御世話人」という公家の存在が明らかになった。また、北野社では、享和2年に菅原道真九百年御忌が実施されるが、従来とは異なる勅会として行われることとなり、それに際しての北野社内部組織の構成員の動向を分析した。その結果、構成員の一部が、勅会開催を理由として、国家祭祀対象社の中における北野社の社格を向上させようとしていたことが判明した。 次に、北野社の内部組織に関して、官位と組織内の秩序の関係を史料から分析した。その結果、新事実として、安永期における官位の叙任経路の変更が明らかとなった。また、その変更に際しては、官位に起因する秩序が問題視されていたことが明らかとなり、これは先行研究の指摘とも通じるものであるが、北野社については、天皇による勅任か、曼殊院による叙任かという、叙任主体の差による秩序が存在していた点に、本研究の成果の独自性がある。その変更の背景は、朝廷勢力内の事情であったことが明らかになった。具体的には、曼殊院と同格にある勧修寺などの三門跡の叙任権限との抵触を避けることが主な背景であった。これは、朝廷勢力との関係の中で北野社を捉えるという前年度以来の視角を以て初めて明らかにできた事実である。 総じて、本年度の検討作業の結果、新たに国家祭祀という視角から、北野社の朝廷の関係に関する理解を深化させるとともに、それに対応する内部組織の実態を解明でき、これらについて論文化を進めた。また、近世北野社の基礎的考察に関する報告も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析の前提となる原本史料の調査を着実に行い得たことや、近世大神社を考える上で大前提となる朝廷との関係について、計画通り国家祭祀という視角から分析を出来たことに拠る。また、史料上に見える個別の事件を子細に分析したことで、これまで近世朝廷研究において検討が十分でなかった御世話人について言及することができ、加えて、従来指摘されていなかった北野社の官位叙任経路の変更について解明できたことも、本年度の大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、神仏習合という観点から、北野社の内部組織を分析を行う予定である。本年度に明らかにした北野社と朝廷の関係や、それに対応する内部組織の実態は、次年度の分析課題に取り組む上でも重要な前提であり、積極的に本年度の成果と関連させながら検討を進める。 また、引き続いて北野社所蔵の史料や東京大学史料編纂所・宮内庁書陵部などが所蔵する史料の原本調査を行い、基本的な事実確定を並行しつつ検討を進めることとする。
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Research Products
(5 results)