2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J05732
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日道 俊之 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 共感 / 援助 / 心の理論 / 情動調節 / 前頭前野外側部 / NIRS / 5HT2A受容体遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,共感が援助を導く機構に関して、2つの実験と2つの調査,1つの追加解析を含む5つの研究を行った。実験研究では、近赤外分光法(NIRS: near-infrared spectroscopy)による脳活動計測を用い,感情と他者の心的状態の推測に関する研究,情動調節に関する研究を行った。前者の研究より,不快感情の他者の心的状態の推測への効果が対人場面固有の処理過程を促進し、この促進効果に前頭前野外側部(LPFC: lateral prefrontal cortex)が関与することが示された。後者の研究では,感情を調節している際のLPFC活動が,苦境にある他者への不快感情の共有を抑制し、援助を動機づける傾向にあることが示された。これらの結果は、不快感情の他者の心的状態の推測に対する妨害効果(Himichi, Fujita, & Nomura, in press)、LPFCが他者の苦境への感情の共有及び援助を促進すること(Himichi & Nomura, in press)を示した研究と異なった結果である。これは,共感・援助に対する不快感情の影響の方向性(促進・抑制)を調節する要因が存在することを示唆する。さらに、他者の苦境への共感におけるLPFC活動と援助の関係性を示した以前の実験データ(Himichi & Nomura, in press)にセロトニン2A受容体遺伝子多型データを加え、追加解析を行った。その結果、当遺伝子多型が苦境にある他者への共感におけるLPFC活動に影響することが示唆された。 また、調査研究では,共感性を測定する対人的反応性指標を翻訳し,当尺度の信頼性・妥当性が十分であることを確認した。さらにその尺度を用い,共感性が衝動性・マインドフルネス傾向などの個人特性と関連する否か,別の調査により検討している。現在,そのデータを解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はNIRSを用いた2つの実験だけでなく,本研究を拡張させる重要な調査を実施した。また,共感の調節システムと援助の関係を示した研究,不快感情が他者の心的状態の推測に影響することを示した研究に関する2本の論文が採択された。これらのことにより,本研究は予定以上に進捗していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究より,セロトニン2A受容体遺伝子多型が他者の苦境に共感している間のLPFC活動に影響を及ぼす可能性が示されたが,本研究ではNIRSによりPFCの活動を計測したため,脳深部の活動を捉えることが難しいという限界があった。よって,今後の研究ではセロトニン2A 受容体遺伝子多型の共感への影響機構をより詳細に検討するために,機能的磁気共鳴画像法(fMRI: functional magnetic resonance imaging)を用いた実験を行う。さらに,本年度実施した調査について引き続き解析を行い,共感性の個人差と関連する個人特性から,共感の機構に関して検討を行う。
|
Research Products
(9 results)
-
-
-
-
-
[Presentation] Effect of 5HT2A receptor gene polymorphism on lateral prefrontal cortex activation during empathy.2014
Author(s)
Himichi, T., Kaneko, M., Nomura, J., Okuma, Y., Nomura, Y., & Nomura, M.
Organizer
The 17th World Congress of Psychophysiology (IOP2014)
Place of Presentation
Hiroshima
Year and Date
2014-09-23 – 2014-09-27
-
-
-
-