2014 Fiscal Year Annual Research Report
実場面における手話通訳発話の構成メカニズムの研究-通訳実践データベースの構築-
Project/Area Number |
13J05740
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
菊地 浩平 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 手話研究 / 通訳実践 / 相互行為分析 / 類型論的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は前年に得られた知見を敷衍し,より具体的な研究成果を発表することができたという意味で期待通りの進展ができたと考えている.また社会へのアウトリーチについても一定の成果を挙げた. 前年度に現実の社会に対する本研究課題の位置づけを「相互行為としての手話通訳活動」として捉え直してきたことを踏まえて執筆した1件の論文投稿が採録された. また国内外での学会発表でも同様に,実場面における手話通訳発話が場面の特徴に即した形で構成されていることを報告し,多くの研究者と意見交換する機会を持った. 最後にアウトリーチ活動の一環として,2冊の書籍に研究成果の一部を寄稿する機会を得た.1冊は,従来の手話研究が母語話者であるろう者の言語産出に注目する立場をとることが多かったことを踏まえ,今後の研究の方向性として非母語話者である手話学習者や通訳者が参加する接触場面に注目することの重要性について述べた.もう1冊の成果では本研究課題でもデータ整備・分析に利用しているELANというソフトウェアの利用方法について,アノテーション付与作業の流れ,および付与したアノテーションの利用方法を,具体例を交えて解説した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はデータ整備・分析のフェーズと位置づけて研究を進め,6件の研究成果発表を行うことができた.特に前年度の研究進展から「相互行為としての手話通訳」という観点を重視して研究した成果が,1件の論文として採録された.この成果は具体的な場面のコンテクストに即して通訳発話が構成されていくメカニズムの一端を明らかにしたという意味で,本研究課題にとって極めて重要な成果である.また国内外で実施した研究発表も,手話通訳者の発話がその場で行われている活動に即して組み立てられている点を分析した結果を発表するものとなっており,研究は期待通りに進展していると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度となるため,これまでに収集してきた表現類型や通訳活動の実践を整理し,データベース化していくフェーズとする. 成果報告ついては論文投稿を計画している以外に,すでに2件の国際カンファレンスでの発表が採択されている.またこれまでどおり協力者とのミーティングの機会をつくる他,より多くの通訳者と議論する機会をつくり,利用者・参照者にとってより意味のある成果報告の形について議論していく.
|
Research Products
(6 results)