2013 Fiscal Year Annual Research Report
高スピン非対称性鉄-コバルト人工規則合金を用いたトライレイヤ磁気デバイスの開発
Project/Area Number |
13J05796
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鄭 鎭源 東北大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 巨大磁気抵抗(GMR) / ハードディスクドライブ / 読み取り磁気ヘッド / バルクスピン非対称性 / 界面スピン非対称性 / バンド構造 / 金属人工格子 / スピン依存界面抵抗 |
Research Abstract |
本研究は, 高スピン分極率をもつ金属人工格子[Fe/Co]_n薄膜(以下AML [Fe/Co]_n薄膜)と高界面散乱が期待できるFe/Ag界面を作製することで, 高感度化につながる高い磁気抵抗比(MR比)を有するシザーズ型トライレイヤーGMRデバイスの開発を行う. これらにより5Tbit/inch^2級のハードディスクドライブの高記録密度化を実現しうる次世代磁気読み取りヘッドへ適用することを目指す. 理論で示されているもので電流が膜面垂直(Current-Perpendicular-to-Plane)に流した場合の磁気抵抗の変化は強磁性体の中に存在するスピン依存散乱(バルクスピン依存散乱 : β)に加え, より大きな寄与度があると考えられている界面におけるスピン依存散乱がある. しかし, スピン依存界面散乱の程度を示すスピン依存界面抵抗(AR^*_<F/N>)とMR変化率との関係性に関する先行研究は, それぞれの材料におけるバンド構造を考慮した理論計算がわずかにあるのみで, 実験的な報告例は皆無である, したがって, MR変化率とAR^*_<F/N>との関係性を実験的に明らかにする, FeCo合金(Fe濃度100%, 50%, 30%, 0%)を用いた多層膜からスピン依存界面抵抗(AR^*_<F/N>)をトライレイヤーCPP-GMRからMR変化率に対するAR8F/Nの依存性を求めた. 多層膜では, Fe/Agの界面において最も高い界面抵抗(0.65mΩμm^2)が得られ, AR^*_<F/N>~2.1mΩμm^2が算出された. また, 強磁性体としてAML [Fe/Co]_n薄膜と各界面にFe/Agの界面が有するトライレイヤー-CPP-GMRで得られたMR比は20%と向上することができた. この抵抗変化(△RA)は最も高い6.2mΩμm^2が得られ, この結果は今まで報告されたFeCo合金を用いたCPP-GMRデバイルと比べてもっとも大きな値である. 更に, Valet-Fertの解析モデルを用いてその磁気抵抗変化でのAR^*_<F/N>の依存性を定量的に調べることにより, スピン依存界面抵抗がMR変化率を改善するに当たって大きな原因になっていることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピン依存界面抵抗とMR変化との関係性に関する先行研究は, それぞれの材料におけるバンド構造を考慮した理論計算がわずかにあるのみで実験的な報告例は皆無であるが, これまで得られた結果の解析からスピン依存界面抵抗がCPP-GMRデバイスの高MR変化につながる大きな原因になっていることが明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
1. M. D. Stillesらの理論で示されているものFe/Ag界面における高スピン依存界面抵抗(3.48mΩμm^2)の実現に向けて, 低成膜エネルギーの成膜が可能な冷却中蒸着法(200K以下)を用いて良質なFe/Ag界面が実現できる成膜条件の探索をする. 2. 強磁性体の中に存在するスピン依存散乱(β)を増加する方法として, AML[Fe/Co]_n薄膜の中にごく微量の異種元素(Al, Cu, Dyなど)を添加することにより高比抵抗と高βを有する成膜条件の最適化を行う. 最終的には, 異種元素を添加した金属人工格子[Fe/Co]_n薄膜と最適化されたFe/Ag界面作製条件を用いて高感度化につながる高MRが有するシザーズ型トライレイヤーGMRデバイスを作製する. (△RA : 10mΩμm^2, MR比 : 40%以上)
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