2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヤドカリの「車体感覚」を成立させる知覚基盤の行動学的解明
Project/Area Number |
13J05880
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
園田 耕平 滋賀大学, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヤドカリ / 道具使用 / 身体 / 車両感覚 / ボディイメージ / 身体操作感 / 身体所有感 / 動物行動 |
Research Abstract |
ヤドカリはその貝殻の大きさを知覚できることが研究代表者の先行研究から明らかになっている(Sonoda et al. 2012)。ここから、その知覚様式が一般的に知られている車両感覚と共通する可能性が考えられる。つまり、車両感覚と貝殻知覚がともにダイナミックタッチ(物体の慣性テンソルの知覚)を基盤としているならば、ヤドカリもヒトと同様に車両を操作することが可能となるはずである。言い換えると、車両感覚を伴う道具使用が可能であり、具体的には、車両の大きさを知覚して操作すること、を想定できる。ヤドカリは通過口を通過するときに、車両の大きさに応じた振る舞いを示すはずである。実験の主たる目的は、通過口における車両様物体にのったヤドカリの振る舞いについてみることで、そのような拡張的な道具使用が可能であるかを検証することである。車両様物体の使用は、車輪がついたアクリル板に貝殻を付着させることで実装していく予定である。 第27回日本人工知能学会講演会にて、前年度から行っている予備実験の結果と考察について、報告と議論を行った(学会発表1)。特に、ヤドカリが車体様物体を操作可能であるかどうかが本研究テーマの最大の焦点であるが、この可能性を予備実験により明らかにしました。まだ、少数の個体でしか確認がとれていませんが、貝殻でない車輪付きの物体を忌避しないことが確かめられました。また、この車体を狭い通過口を衝突せずに通過できることも確認できました。 日本動物行動学会第32回大会にて、25年度に行った実験の結果を合わせて、総合的な議論と報告をおこなった(学会発表2)。特に、本研究の要となる実験コースの問題点と車体の設計について、議論が行えた。 また、本研究のテーマの1つである"ボディイメージ"に深く関連する"身体操作感"と"身体所有感"に関する議論と考察を学術論文の形で発表した(雑誌論文1)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物行動の実験に共通することではあるが、対象動物(ヤドカリ)の実験条件に対する反応をみながら、細かい条件(コース設計・試行回数・車体設計など)を調整しなければならないため。 しかしながら、予備実験から重要な知見は得られており、実験条件はほぼ固まりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に行った一連の予備実験から得られた知見をもとにすでに実験装置を製作しているので、今後は本格的に行動実験をすすめていきたい。本研究課題は3つの実験テーマで構成されているが、26年度は準備が整ったので、このうち2つの実験テーマを完成させたい。
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Research Products
(3 results)