2014 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子のタウレプトン・ニュートリノ対崩壊事象を用いた標準模型を超える物理の探索
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13J05915
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今野 智之 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 素粒子物理実験 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
Belle II実験は高エネルギー加速研究機構(KEK)のSuper KEKB加速器から送られる7GeVの電子と4GeVの陽電子を用いた電子陽電子衝突型加速器実験で、Belle II実験は前身のBelle実験からビーム衝突性能を40倍に増強しさらに検出器をより高性能にすることにより、素粒子物理学における標準模型のより高精度の検証により標準模型を超える新物理事象探索を目指す。 本研究では2017年度のBelle II実験開始に向けて検出器から得られる測定データを収集するデータ収集(DAQ)システムの開発を行っており、報告者は検出器の制御を含むDAQシステムのコントロール・モニタリングソフトウェアの開発を主に担当している。開発したDAQシステムは建設の進むBelle II検出器の宇宙線を使った性能試験で2014年8月より検出器の一部であるBelle II ECL検出器の性能試験に運用されおり、今後完成される他の検出器に対しても順次運用される予定である。 Belle II検出器の粒子識別装置A-RICH検出器において報告者は高電圧電源の制御ソフトウェアの開発を担当しておりソフトウェア開発はほぼ終了し、運用試験へ移行している。開発したA-RICH電源制御ソフトウェアをモデルにBelle II検出器電源管理用のソフトウェアフレームワークを構築し、A-RICH検出器以外の検出器に対しても導入が順調に進行している。 実験開始後の物理解析に向けて所属研究室にデータ解析用コンピュータクラスタの導入を行った。 また、2014年5月に奈良で行われた国際会議IEEE RT2014に参加し開発したBelle II DAQコントロールソフトウェアのポスター講演を行い、7月末にはベトナムで行われた国際会議IWTCP-2に参加しBelle II実験の代表として招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Belle II実験は2017年度中の実験開始を予定しておりデータ収集システムも実験開始に向け開発を進めている。本年度はBelle II検出器を構成する1つであるECL検出器の宇宙線性能試験が開始されBelle IIデータ収集システムを運用してのデータ収集を行った。データ収集は順調に行われ検出器の性能評価に必要なデータ収集に成功するなど一定の成果を上げた。一方でデータ収集が数時間程度で停止してしまう不具合や制御ソフトウェアの煩雑さなど問題も見つかり今後改善を進める。また測定開始後の物理解析に向けた準備として所属研究室内にデータ解析用コンピュータクラスタを導入しデータ解析体制を整えるとともにモンテカルロシミュレーションによる解析手法の研究を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は2014年より開始したECL検出器宇宙線試験に加えBelle II検出器への組み込みが完了しているKLM検出器、CDC検出器についても新たに宇宙線試験を行いECL検出器と並行してデータ収集を行う。同時に開発したBelle II検出器制御ソフトウェアフレームワークの組み込みを完了させBelle検出器・データ収集システムの制御体制を完成させる。またユーザーインターフェースの改良も進め実験シフトに向けた体制を構築する。加えて所属研究室に導入したコンピュータクラスタをBelle II実験データ解析用のグリッドコンピューティングシステムに登録しよりスムーズな解析体制の構築を行うとともにモンテカルロシミュレーションによる研究を進める。
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Research Products
(3 results)