2013 Fiscal Year Annual Research Report
二重のリン酸化によるbZIP型転写因子FDの機能調節を介した花成制御
Project/Area Number |
13J06000
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 望 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 花成 / リン酸化 / カルシウム |
Research Abstract |
フロリゲンであるFTは葉から茎頂へと輸送された後、FDと複合体を形成することで花成を促進する。これまでにFDとFTの複合体形成はリン酸化依存的であること、カルシウム依存性のタンパク質キナーゼであるCDPKがFDをリン酸化して複合体形成を制御する有力な候補であることを示してきた。 今年度は昨年度までに行った、局在観察スクリーニングにより得られた核と細胞質に局在するCDPKについて以下の解析を進めた。核に蛍光が見られたCDPKの組換えタンパク質を作成し、基質であるFDのリン酸化される残基T282を含むC末端ペプチドを基質としてin vitroリン酸化活性を行い、絞り込みを行った。その結果、3つのCDPKが効率よくFDT282をリン酸化することがわかった。これら3つに関して、FDとの直接的な結合を調べるために、pull down実験を行ったところ2つのCDPKが直接的にFDと結合した。そこでこれらCDPKのT-DNA挿入変異体を取得し、その表現系を観察した。変異体を長日条件において育成した場合には顕著な花成遅延表現系は見られなかった。FDとの結合が見られた2つのCDPKについて二重変異体を交配により作出し、その表現系を調べたが、やはり長日条件において、花成遅延表現系は見られなかった。そこで、3週間短日条件において育成し、その後4日間の長日条件で育成することで、花成誘導を行い、誘導処理の後、再度短日条件において育成することで、花成表現系を評価した。その結果、軽微ながら変異体では花成遅延表現系が認められた。また蛍光タンパク質をレポーターに用いた発現・局在観察から、茎頂において蛍光が観察でき、その蛍光は核に見られた。これらの結果から、今回同定に成功したCDPKがFDのリン酸化を担う中心的な因子であると考えられる。現在、これらの成果について公表するべく、論文の投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FDをリン酸化することでFTとの複合体形成を制御するCDPKについて同定を終えた。また遺伝学的解析も順調に進行しているため。一方で、質量分析計を用いたFDのリン酸化部位の同定はできなかった。これらの結果を総合的に判断して、順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
FDをリン酸化するタンパク質キナーゼの同定を終えたので、その活性化機構の理解を目標に研究を進める。具体的には、茎頂分裂組織におけるカルシウム動態を調べる。また、リン酸化に伴う機能制御機構を明らかにするために、引き続きリン酸化模倣型・脱リン酸化模倣型の変異型FDを発現する形質転換体とfd lfy二重変異体を用いた遺伝学的解析を進める。
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Research Products
(2 results)