2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
更級 葉菜 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核酸/蛋白複合体 / 炎症 / SF3b2 |
Research Abstract |
先行研究により、マウスの炎症疾患モデルで薬効を示す核酸結合化合物(暫定的にNAIC-001とする)と示さない化合物(暫定的にNAIC-002とする)は、内在性の核酸蛋白質複合体に結合するが、NAIC-002が結合する複合体にはより多くの蛋白が含まれることが分かっていた。このことから、NAIC-002は核酸から免疫性を制御する蛋白を分離させる事ができず、薬効を示せないのではないかと考え、この免疫性を制御する蛋白をNAIC-002結合蛋白の中から同定するべく検討を行った。 NAIC-002のみと結合する蛋白群に着目し、マウス胎仔線維芽細胞(MEF)においてノックダウン後、死細胞にした際の免疫性を検証したところ、SF3b2のノックダウンが著明に死細胞の免疫性を低下させることが分かった。さらに、SF3b2をノックダウンしたMEFでは核酸刺激に対する遺伝子誘導が抑制されることも明らかになった。これらの結果より、SF3b2は細胞外、細胞内の両方で核酸に免疫性を付与している可能性が示唆された。さらにこの解析の中で、免疫性核酸複合体に関する興味深い側面が明らかになった。すなわち、SF3b2をノックダウンすることによって死細胞の免疫性が半分ほどに低下したが、完全に免疫性がなくなることはないことから、SF3b2に非依存的に核酸の免疫性を増強する機構も存在することが示唆された。そのためさらに、SF3b2に結合していないフリーの核酸が応答細胞に取り込まれる機構に着目し、これに関わる蛋白の探索を行った。私はこれまでの研究の中で、このような機構と関連する知見として、大腸内容物に含まれる何らかの物質が核酸を細胞質内へ輸送する機構を有するという知見を得ていたため、大腸内に含まれる物質に着目してSF3b2非依存的な核酸の免疫性増強に関わる物質を探索した。その結果、蛋白質SP-DがSF3b2に結合しないと思われるサイズのc-di GMPやcGAMPの免疫性を増強することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画していた検討を行い、核酸に免疫性を付与する可能性がある蛋白質としてSF3b2を同定できただけでなく、SF3b2非依存的にc-di GMPやcGAMPの免疫性を増強させる蛋白質の同定、解析を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析より、SF3b2が細胞外と細胞内で核酸に免疫原性を付与する可能性が示唆された。この結果をもとに、より生理的な条件下でのSF3b2の機能を解析するため、SF3b2のノックアウトマウス(胎生致死)由来の細胞を用いた解析を行う。また、SF3b2非依存の非常に興味深い機構の存在を明らかにしたため、当初の予定にはなかったが、SP-Dに関する解析を追加する。すなわち、SP-Dノックアウトマウスおよび由来細胞の解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Opposing immunomodulatory roles of prostaglandin D2 during theprogression of skin inflammation.2014
Author(s)
Hana Sarashina, Yoshiki Tsubosaka, Keisuke Omori, Kosuke Aritake, Takayuki Nakagawa, Masatoshi Hori, Hiroyuki Hirai, Masataka Nakamura, Shuh Narumiya, Yoshihiro Urade, Hiroshi Ozaki and Takahisa Murata
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Journal Title
The Journal of Immunology
Volume: 192(1)
Pages: 459-65
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Beneficial innate signaling interference for antibacterial responses by a Toll-like receptor-mediated enhancement of the MKP-IRF3 axis.2013
Author(s)
Hideo Negishi, Kosuke Matsuki, Nobuyasu Endo, Hana Sarashina, Shoji Miki, Atsushi Matsuda, Naoko Taguchi-Atarashi, Keiko Fukazawa, Hiroaki Ikushima, Hideyuki Yanai, Junko Nishio, Kenya Honda, Yoichiro Fujioka, Yusuke Ohba, Tetsuo Noda, Shun' ichiro Taniguchi, Eisuke Nishida, Yongliang Zhang, Chen Dong, Hongbo Chi, Richard A. Flavell and Tadatsugu Taniguchi
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 110(49)
Pages: 19884-9
DOI
Peer Reviewed
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