2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J06487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 陽一 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | FPTアルゴリズム / 分枝限定法 / LP緩和 / 最小カット / 現実ネットワーク / 最短路クエリ / 木幅 |
Research Abstract |
本年度はNP困難な最適化問題に対する実用的な手法である分枝限定法について, FPTアルゴリズムという理論的な枠組みから取り組んだ. 既存の成果として, 頂点被覆などいくつかの問題についてLP緩和解を下界とした分枝限定法によって, LP最適解と整数最適解の差に関する指数時間で解くFPTアルゴリズムが知られていた. 分枝限定法などの探索アルゴリズムにおいては, 探索ノード数を減らすこと以外にも, 一ノードあたりの計算時間を削減することも実用上重要であり, 問題に新たなパラメータを導入して計算量を解析するFPTアルゴリズムにおいても, パラメータの指数に関する部分と入力長の多項式に関する部分の両者それぞれについて, より良い計算量のアルゴリズムを開発する研究が行われている. 本研究では, LP緩和問題を最小カット問題に帰着し, さらにその特殊な解を効率的に構築するアルゴリズムを開発することにより, 各ノードあたりの計算時間を線形時間に削減することに成功した. これにより, 奇閉路除去問題などに対する初の線形時間FPTアルゴリズムを与えた. この成果はSODA2014に採択され, 発表を行った. また, ERATO河原林プロジェクトとの共同により, 現実世界ネットワークに対する効率的アルゴリズムの研究も行った. 特に, 最短路クエリ問題に関する研究では, 実験的に既存のアルゴリズムの性能をはるかに凌ぐ新しい手法を提案しただけでなく, その手法がなぜ高速に動作するのかを, Webグラフ・ソーシャルグラフといった複雑ネットワークの性質やFPTアルゴリズムの分野でも度々登場する木幅と呼ばれるグラフパラメータを用いて理論的な証明を行った. この成果はSIGMOD2013に採択されたほか, 他のクエリへの応用, 道路ネットワークへの適用なども行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り, 分枝限定法について理論的な枠組みからの研究を行い, より計算量の優れたアルゴリズムを開発することに成功した. これにより実用でも非常によく用いられている手法が理論的にも優れた性能を出すことを示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
まず, 分枝限定法の適用範囲をより広めるための研究を行い, どういった問題であれば分枝限定法により効率的に解くことができるのかを明らかにすることを目指す. 更に, 分枝限定法以外の現実的手法についても, 理論的な枠組みからの解析を与えることを目指す. また, 現実世界の問題の構造に関する研究も行う. 計算量的には優れていなくても, 実用上優れた性能を出す手法は, 問題の構造を暗に活用していると考えられる. こういったアルゴリズムをFPTアルゴリズムなどの枠組みから解析を行う. 最後に, 理論的研究により生まれた新しい手法の実際の入力に対する性能評価も行う.
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Research Products
(9 results)