2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメツリガネゴケを用いた乾燥環境への適応を可能にするタンパク質分解機構の解明
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13J06733
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
迎 恭輔 埼玉大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 乾燥耐性 / ヒメツリガネゴケ / オートファジー / マイクロアレイ |
Research Abstract |
乾燥耐性の誘導には保護タンパク質、抗酸化因子、適合溶質の生成による生体内物質の保護が必要だと考えられている。その一方で、乾燥によってタンパク質が変性することも知られている。しかし、乾燥耐性誘導時に変性タンパク質がどのように除去されるのか、その詳細な機構は理解されていない。そこで、本年度では、コケ植物ヒメツリガネゴケを用いて、乾燥により発現変動を示すタンパク質分解関連遺伝子の同定を行った。ヒメツリガネゴケの全遺伝子を載せたカスタムマイクロアレイを用いて解析すると、オートファジー関連遺伝子群やユビキチン-プロテアソーム系遺伝子群の発現変動が見られた。オートファジーは飢餓時の栄養調達や細菌の感染拡大を防ぐなどの生理的に重要な役割を担っているため、生物にとってオートファジーは恒常的に必要であると考えられている。そこで、研究代表者はオートファジーが乾燥耐性誘導において重要な役割を担っていると考えた。ヒメツリガネゴケにおいて、オートファジー欠損株を作製し、野生株との乾燥比較実験を試みた。研究代表者は、オートファジーは生存に必要な機構であるため、オートファジー欠損株は乾燥に対して野生株よりも敏感(弱い)であると予想した。しかしながら、その結果は逆となり、野生株はオートファジー欠損株よりも敏感であることを示した。このことは、乾燥に対してオートファジーは必要ではなく、むしろ作用しない方が生存の可能性を高めるということを意味している。この現象を追求するために、現在は、顕微鏡観察を行いオートファジーが実際に活性化することを証明しようとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オートファジーが乾燥耐性誘導に深く関与している可能性を見出し、その詳細なメカニズムの絞り込みが着実に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はGFP-ATG8融合タンパク質を利用して乾燥/吸水過程におけるオートファジーの細胞内観祭と、ミトコンドリアとペルオキシソームの局在化シグナルを付加したGFP融合タンパク質を用いたオルガネラの観察を検討している。そこで、GFP-ATG8変異体、ETFQO-GFPとSKL-GFP変異体の作製を進める。
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Research Products
(1 results)