2013 Fiscal Year Annual Research Report
地球表層における揮発性元素の物質循環および大気・海洋の起源と進化に関する研究
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13J06922
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿児島 渉悟 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地球化学 / 物質循環 / 火山 / 中央海嶺 / 硫黄 / ハロゲン / 希ガス / 地球史 |
Research Abstract |
地球の大気・海洋中の揮発性元素の大部分は、火山活動を通じて地球内部から放出され蓄積した。この放出過程・物質循環を調べて大気・海洋の形成史を解明することは、地球史への理解を深め環境予測を行う上で重要である。当該年度においては、太平洋・大西洋・インド洋に存在する大規模な海底火山地帯(中央海嶺)で採取された岩石試料を真空中で破砕・燃焼するなどして、内部に含まれる成分を抽出して質量分析計やクロマトグラフィー装置で分析した。これらの試料には地球内部から放出されるマグマの化学組成が保存されていた。集めたデータを基に、地球表層における硫黄・ハロゲンといった揮発性元素の物質循環に関する論文を作成し、国内外の学会において発表した。これらの論文は、よく分かっていない硫黄・ハロゲンの物質循環を、明確に物質循環が分かっている希ガス元素のヘリウムを基準にして推定した先駆的な研究成果を報告している。そして硫黄・ハロゲンの地球史を通じた物質循環について、主に以下の2つの結論を得ている。 1. 硫黄・ハロゲンの放出量は、海底火山よりも陸上火山の方が大きい可能性がある。 2. 硫黄. ハロゲンの大規模な放出過程が地球早期に存在した可能性がある。特に塩素に関してはその可能性が高い。 また大気・海洋中の揮発性元素は、泥などの堆積物に取り込まれた後にプレート収束境界を通じて地球内部に戻ることがあり、物質循環を解明するにはこの過程を調べる必要がある。そのために現在、海底堆積物試料を準備中である。また現在、当該年度に得られた成果を基に論文を作成中であり平成26年度に国際誌へと投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画における「海底堆積物の分析」は準備段階であるが、「中央海嶺玄武岩ガラス試料の分析」を順調に進め、学会において随時研究成果の報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に、海底堆積物試料の分析および国際誌への論文の投稿を行う予定である。 同年度において、中性子照射による岩石試料中元素の分析を行う予定である。これは当初の研究計画には含まれていないが、研究目的を遂行するためには必要であると判断した。東京大学および他研究機関の研究者らと共同で試料と実験環境の準備を進めており、同年度における実現は可能であると考えている。
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Research Products
(3 results)