2013 Fiscal Year Annual Research Report
トキソプラズマ寄生胞構成タンパク質による宿主制御メカニズムの解明
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13J07000
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
亀山 響子 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特別研究員(DC2)
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Keywords | トキソプラズマ / 寄生胞構成タンパク質 / GRA7 / エグレス |
Research Abstract |
細胞内寄生性の病原体の排除には、寄生体の宿主体内における動態の解明が必要不可欠である。トキソプラズマの寄生胞には、寄生胞から突起状に伸長する特徴的な網状構造物が存在し、デンスグラニュル(GRA)7の局在が確認されている。トキソプラズマの網状構造物の構成タンパク質は宿主の免疫機構に作用し、寄生胞と宿主細胞の間には、網状構造物を介した複雑な物質輸送システムが存在すると考えられる。本研究は細胞内寄生体と宿主細胞の相互作用のうち、特にトキソプラズマの網状構造物が宿主細胞に与える影響に注目し、新規治療法開発に向けた基礎的知見の提供を目的としている。はじめに、GRA7について、野生型およびGRA7欠損トキソプラズマの感染動態の解析を行った結果、大変興味深い結果が得られた。野生型トキソプラズマとGRA7欠損トキソプラズマでは、虫体の増殖に違いは見られなかった。しかし、野生型トキソプラズマに比べ、GRA7欠損トキソプラズマでは、感染48時間以降にエグレス(宿主細胞からの虫体の脱出)の遅延が観察された。本研究結果より、GRA7によるエグレスの制御が推測され、その作用は寄生胞内Ca^<2+>濃度の上昇および感染細胞内へのCa^<2+>の流入に関与する可能性が示唆された。現在、これまでに得られた実験結果を確かめるため、GRA7を発現するプラスミドを導入したGRA7欠損虫体(GRA7相補虫体)を用いた追試実験を進めている。また、寄生胞内のCa^<2+>濃度の上昇には、寄生胞内アブシジン酸の蓄積によるCa^<2+>動員セカンドメッセンジャーcADPRの活性化を伴うことが報告されており、今後は、GRA7の寄生胞内へのCa^<2+>取り込みへの関与および、脂質輸送メカニズム、細胞間情報伝達の誘導の解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トキソプラズマの遺伝子組換え操作について、実験当初に研究代表者が理解しておらず、成功するまで長期間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はGRA7の更なる機能解析を進めるために、前述の実験に加え、以下の実験を行なう。GRA7をFLAGタグ融合タンパク質として発現させ、共免疫沈降法および沈降物の質量分析によりGRA7と相互作用する虫体分子あるいは宿主因子を同定する。
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Research Products
(5 results)