2014 Fiscal Year Annual Research Report
トキソプラズマ寄生胞構成タンパク質による宿主制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
13J07000
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
亀山 響子 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 寄生虫由来感染症 / トキソプラズマ / 寄生体宿主相互作用 / 分泌タンパク質 / エグレス / マラリア / 感染動態 / 新規治療法開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内寄生性の病原体の排除には、寄生体の宿主体内における動態の解明が必要不可欠である。申請者はこれまでに、寄生胞内のトキソプラズマ虫体は宿主細胞を制御し、コレステロールを取り込んで利用することを報告した。一方、トキソプラズマと同じアピコンプレックス門に属するマラリア原虫は、赤血球内で寄生胞表面に微小管網を形成し、微小管網の構成タンパク質を感染細胞の細胞質や細胞膜に輸送すると報告された。トキソプラズマの寄生胞には、寄生胞から突起状に伸長する特徴的な網状構造物が存在し、GRA7の局在が確認されている。また、GRA7は寄生胞上に局在するトキソプラズマ由来の宿主免疫抑制分子ROP18と結合し、その機能を強化することが示された。以上の知見は、トキソプラズマの網状構造物の構成タンパク質は宿主の免疫機構に作用し、寄生胞と宿主細胞の間には、網状構造物を介した複雑な物質輸送システムが存在する可能性を示している。本研究は細胞内寄生体と宿主細胞の相互作用のうち、特にトキソプラズマの網状構造物の構成タンパク質が宿主細胞に与える影響に注目し、新規治療法開発に向けた基礎的知見の提供を目的としている。GRA7の機能解析を行うため、野生型およびGRA7欠損トキソプラズマの感染動態を比較した結果、野生型トキソプラズマとGRA7欠損トキソプラズマでは、虫体の増殖に違いは見られなかった。しかし、野生型トキソプラズマに比べ、GRA7欠損トキソプラズマでは、感染48時間以降にエグレス(宿主細胞からの虫体の脱出)の遅延が観察された。本結果より、GRA7は虫体の宿主体内における増殖に必須ではないが、エグレス制御へ関与すると考えられる。寄生胞膜および寄生胞内部は、虫体由来分泌タンパク質が複雑に相互作用し合うことで、各タンパク質の局在や機能が決定する。よって、GRA7と相互作用する分子を同定することが、今後の課題といえる。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|