2013 Fiscal Year Annual Research Report
テンプレートによるタンパク質結晶の核形成の促進とマイクロ流体デバイスへの応用
Project/Area Number |
13J07016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
真栄城 正寿 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 特別研究員(DC2
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Keywords | マクロ流体デバイス / タンパク質 / 結晶化 |
Research Abstract |
本年度は、(1)試作型デバイスの作製や脂質二重膜の作製方法など、研究課題の基盤要素について検討を行った。また、(2)析出した結晶をダメージレスで評価するためのマイクロ流体デバイスの作製を行った。 (1)試作型デバイスは、PDMSとCOCシートからなるフィルムタイプのマイクロ流体デバイスを金蒸着カバーガラスに貼り合わせて作製した。脂質二重膜の作製においては、脂質の種類、脂質の混合比、ベシクル濃度、反応時間などについて検討を行った。AFMによって基板表面の測定を行ったところ、DOPC : DoGs-NTAの混合比が6:1の場合に最も適した割合でHisタグ付きタンパク質が基板表面に固定化されていることが明らかになった。 (2)ダメージレスなX線結晶構造解析の前処理(抗凍結処理)と100Kの温度下で測定が可能なデバイス開発を試みた。マイクロ流体デバイスにNomally Closed Valveを組み込むことによって、抗凍結処理を段階的に行うことが可能であった。また、100Kの窒素ガス気流内にデバイスを完浴させるために、デバイスのサイズを2~3mm角に再設計した。X線回折実験の結果、段階的に抗凍結処理を施した結晶から最も良好な回折データを取得できた。また、マイクロウェルの厚みを50μmとし、デバイス全体の厚みを240μmとした場合、デバイス、および溶媒からの散乱はほとんど観測されないことが分かった。さらに、3Å付近のアイスリングは観測されなかったため、結晶に直接触れること無く完全な回折データセットを取得可能なデバイス作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶化の足場と考えているHisタグ付きタンパク質の固定化は、固定化密度の制御が概ね可能となった。しかしながら、脂質の混合比に関してはさらなる検討の余地がある。また、ターゲットタンパク質の入手と調製は多少遅れている。一方でデバイス作製、測定においては、ダメージレスなX線結晶構造解析法を確立した。以上から、研究全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画に従って研究を推進する。テンプレートである脂質二重膜は、DOPC、DOGS-NTAにもう1種類の脂質を加えて、3種類の脂質を混合して作製する。そこに、Hisタグ付きタンパク質を固定化し、固定化密度などを評価する。また、最大の課題である結晶化に適したターゲットタンパク質は、早急に入手して結晶化可能な純度まで精製後、作製したテンプレートを用いて結晶化を試みる。
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Research Products
(10 results)