2013 Fiscal Year Annual Research Report
網目状骨格を有する磁性カプセルの構造制御と薬剤送達システムに向けた機能化
Project/Area Number |
13J07073
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渕上 輝顕 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 磁性ナノ粒子 / 多孔質中空構造 / 超臨界流体 / ナノ構造 / 薬剤送達システム / FePt / 薬剤キャリア / カプセル |
Research Abstract |
本研究では、磁性カプセルの細孔サイズや磁気特性、形状の制御のために、カプセルの基となる磁性ナノ粒子の生成や集積過程、超臨界流体中での焼結過程を電子顕微鏡観察などにより明らかにし、磁気誘導特性の評価などによって磁気誘導薬剤送達システムへ磁性カプセルを実用化することを目的としている。本年度では、FePtナノ粒子の集積密度、熱処理に用いる超臨界流体の溶媒、時間や温度などの反応条件、添加剤について検討した。その結果、集積密度80%程度のFePtナノ粒子と高分子修飾シリカ粒子から成る複合粒子を400℃の流体中で熱処理することにより、FePtナノ粒子が3次元に融着した網状のナノシェルが得られることを明らかにした。FePtナノ粒子の集積密度が100%以上の場合、多孔質のシェルは得られず膜状のシェルが形成し、集積密度が50%以下では3次元に連続して融着した構造は得られず、鋳型となるシリカ粒子を溶解させた後に構造が維持できなかった。したがって、網目状構造の形成は接触している粒子間の焼結によるものである可能性が高く、焼結前のナノ粒子寸法、密度を調整することで、熱処理後の微細構造の制御が可能であることがわかった。流体中での熱処理条件の検討により、400℃の超臨界エタノール中で1.5時間熱処理することによって、室温下で飽和磁化値25emu/g程度を持つ磁性カプセルを得た。このカプセルは直径20m程度の細孔が無数に存在し、かつ10nm程度の厚さを持つ非常に薄いFePt合金シェルによって構成されている。また、超臨界エタノール中で熱処理することによりFePt合金の規則化が促進されることが示唆された。これらの結果から、本研究の新規な手法を用いることで、嵩高い薬剤分子の搭載と放出が可能であり、かっ高い薬剤搭載能、磁気応答性を持つ磁性カプセルの作製が可能であることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超臨界エタノールを用いた熱処理によって得られたカプセルは凝集してしまう。これは反応中に複合粒子が反応容器中で高い頻度で衝突しているためであると考えている。この凝集を抑制しなければ・流路中での磁気誘導特性の評価、細胞毒性試験などを行うことができないため、磁気誘導薬剤送達システムに応用するためのカプセルの評価が進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
超臨界エタノール中でのカプセル間の凝集を抑制するために、熱処理の処理条件の最適化、特に溶液量、複合粒子の濃度などの最適化を行う。また、熱処理前のFePtナノ粒子/高分子/シリカ複合粒子をSiやZnなどの酸化物、またはオレイン酸やオレイルアミンなどのFeまたはPtと親和性の高い有機分子で被覆することで、超臨界流体中で衝突した複合粒子の表面での焼結を防止し、高い分散性を持つカプセルを作製し、応用に向けた評価を行う。また、これらの表面修飾が超臨界エタノールと複合粒子、FePtナノ粒子界面での現象に対して与える影響を調べることで、高温高圧流体下でのナノ粒子の焼結機構に対する知見を得る。
|
Research Products
(6 results)