2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13J07107
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
土屋 貴大 東洋大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Crmp4ノックアウトマウス / 嗅球 / 形態異常 / 匂い識別異常 / 初代培養 / THニューロン |
Research Abstract |
本年度は、1.Crmp4ノックアウト(-KO)マウスで見られた嗅球の形態的異常と生理学的異常との関係性を明らかにする、2.樹状突起伸長に関わるCRMP4の分子メカニズムを明らかにする、の2点を目的として実験を行った。まず1.について、我々によって見いだされたCrmp4-KOマウスの嗅覚異常(匂い刺激に対する応答の低下)は、嗅球に存在する神経の興奮が抑えられた為であると、当初我々は考えていた, そこで、匂い刺激によって嗅球の神経細胞の興奮がどの程度引き起こされるのかを調べる実験を行った。その結果、野生型マウスに酢酸エチルを嗅がせると、嗅球のある特定の領域でのみ興奮する細胞が増えたのに対し、Crmp4-KOマウスに酢酸エチルを嗅がせると、嗅球全体で興奮する細胞が増え、またその数は非常に多く、野生型マウスよりも、より興奮が強く広がっていることが明らかになった。この結果により、Crmp4-KOマウスで見られた嗅覚異常は、匂い刺激による過剰な興奮が原因であることが示唆された。また、匂い情報を正しく伝達する際に重要である側方抑制・興奮の異常も示唆された。 2.については、まず私は上述した側方抑制・興奮に重要な役割を果たしている、嗅球のTHニューロンに着目し、嗅球初代培養細胞中のTHニューロンの免疫染色を行い、1細胞あたりの突起の数を計測した。その結果、Crmp-KOマウスでは、突起の数は野生型では両極性(突起2本)のTHニューロンが多いのに対し、Crmp-KOマウスでは多極性(突起多数)のTHニューロンの割合が有意に増加していることが明らかになった。これらの結果からCRMP4がTHニューロンの突起形成への関与が示唆された。 1.及び2.の実験結果から、CRMP4遺伝子欠損はTHニューロンの形態異常を生み、それが側方抑制・興奮の異常を介して嗅球の興奮異常につながった可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画書の内容をほぼ達成することができた。また、これまでの研究内容を纏め、雑誌に投稿する準備を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はCrmp4ノックアウト(-KO)マウスの嗅球を用いた培養系の実験をさらに進めていく。これまでの結果からCRMP4の樹状突起形成への関与が強く示唆されており、今後はその分子メカニズムを明らかにしていきたい。
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Research Products
(3 results)