2013 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸リハビリテーションにおける呼吸モダリティーを修飾する新規運動療法の開発研究
Project/Area Number |
13J07166
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桂 沛君 東北大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 呼吸リハビリテーション / 呼吸困難 / 咳嗽 / 痛覚 / 性差 |
Research Abstract |
呼吸リハビリテーションは慢性呼吸器疾患の重要な治療法の一つである。呼吸リハビリテーションの制限因子の一つに運動により呼吸困難などの不快な呼吸感覚の増悪が上げられる。もし運動中の呼吸困難と咳衝動を上手にコントロールできれば、飛躍的に運動療法の効果が上がり、呼吸器疾患患者の運動耐容能が上がり、QOLが改善し、生命予後の延長につながるはずである。これまで呼吸モダリティーとしての呼吸困難と咳衝動(咳をしたさ)の働きが十分に明らかにされなかった。先行研究では、健常人において息切れと咳衝動による痛覚感受性が制御された。呼吸モダリティーの鎮痛効果には性差の可能性はまだ報告されていない。そこで、本研究において、温痛覚計を用いて、咳衝動と呼吸困難の鎮痛効果の性差を検討した。 健常非喫煙男性27人と女性26人を対象者として、咳反射感受性、咳衝動、呼吸困難と痛覚感受性を測定した。咳反射は2回咳が誘発されたクエン酸濃度(C_2)を測定し、咳衝動は吸入したクエン酸濃度に対するボルグスケール値により評価した。呼吸困難感は10、20、30cmH_2O/L/sの吸気抵抗負荷時に修正ボルグスケール値より評価した。痛覚感受性を評価するために、温痛覚計を用い、クエン酸吸入時と吸気抵抗負荷時に、痛みの閾値を評価した。 その結果、ベースライン時に、男性より、女性の痛覚閾値が有意に低かった。咳衝動や呼吸困難強度の増加に従って、男女とも痛覚閾値が有意に上昇した。咳衝動の増加に伴う痛覚閾値の変化には、性差を認めなかった。同様に、呼吸困難の増加に従って痛覚閾値の変化には、性差はなかった。 以上より、ヒトは不快な呼吸感覚が大きければ大きくなるほど、痛みに対する感受性が鈍くなることには性差がなかった。このような症候間の相互作用に対する認識と理解が呼吸リハビリテーション効果の向上において重要であることと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
呼吸モダリティーとしての咳衝動と呼吸困難の鎮痛効果の性差を検討することは、運動中呼吸モダリティーの働きを明らかにすることに役に立つと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
呼吸モダリティーとしての咳衝動と呼吸困難の鎮痛効果の性差の結果をまとめ、レフリー論文にて発表する。 エルゴメータを用いる有酸素運動で、痛みや匂い刺激が呼吸困難と咳衝動に及ぼす影響を検討するため、健常者、COPD患者に対して、スパイロメトリー検査、心肺運動負荷試験、クエン酸による咳反射の検査、呼吸困難検査、痛覚測定の検査項目を実施し、データの収集、分析を行う。 または、ルイス肺がんマウスモデルにおいて運動療法の効果も同時に行うこと。
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Research Products
(7 results)