2014 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム安定性維持に関わるユビキチンリガーゼCRL4‐Cdt2の活性制御機構の解析
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13J07320
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
林 晃世 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA複製 / ユビキチン / 細胞周期 / クロマチン / PCNA / Cdt2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチンリガーゼCRL4-Cdt2は細胞周期制御因子(Cdt1, p21, Set8他)をPCNA依存的に分解し、正確な複製とゲノム安定性維持に働く。どのようにしてS期クロマチン上でのみCRL4-Cdt2分解系が作動するのかについて、精製タンパク質を用いたユビキチン化反応の再構成からアプローチしている。 昨年度までに精製CRL4-Cdt2複合体、基質Cdt1、PCNA、直鎖上ニックDNAを用いたin vitroユビキチン化反応において、DNAとPCNAがCdt1のポリユビキチン化を促進する結果を得ていた。今年度は、PCNAのDNAへの結合がCRL4-Cdt2の活性を制御する可能性を検証するために、環状ニックDNAビーズを作製しRfc1-RFCによってPCNAをロードさせ、CRL4-Cdt2によるユビキチン化反応を行った。しかしこの系においては、DNA結合PCNAはCdt1のユビキチン化に影響しなかった。ユビキチン化反応後、DNAビーズ上にPCNA、Cdt1、さらにCRL4-Cdt2が集合していたことから、DNA上に基質-PCNAからなるPIPデグロンは形成されていることを確認した。ユビキチン鎖伸長のためには特異なDNAの構造もしくは未知の機構が関わる可能性が考えられる。 DNAビーズへのPCNAローディング反応系の確立によりユビキチン化反応だけでなく相互作用解析が可能になったため、どのようにDNA上にPCNA、Cdt1、CRL4-Cdt2、PCNAローダーが集合し基質を認識するかについて詳細に調べた。その結果、Cdt2は基質がなくてもPCNAに直接結合するという新たな結果が得られた。現在、この結合様式、意義について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、DNAビーズを作製し、Rfc1-RFCによりPCNAをロードする系を確立した。これにより、DNAに結合したPCNAにCdt1とCRL4-Cdt2が結合することを確認し、基質Cdt1へのポリユビキチン化への影響を検討することができた。また、Cdt2のPCNAへの直接結合を精製タンパク質を用いて初めて示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
CRL4-Cdt2の活性制御に、DNA結合PCNAだけでなく、PCNAローダー(Rfc1-RFCとCtf18-RFC)が関与する可能性について検討する。さらに、DNA構造やCRL4-Cdt2の修飾、E2などを含めた促進因子を探索することで、CRL4-Cdt2が機能するための最小必要因子を示す。相互作用について、特にCdt2とPCNAの結合に焦点をおき、その結合様式と意義を生化学的に解析する。この結果を踏まえて、DNA結合PCNAへ基質、CRL4-Cdt2がどのように集合し、ユビキチン化のための安定な複合体を形成するのか明らかにしたい。
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