2013 Fiscal Year Annual Research Report
無水鉱物中の微量水素位置の特定:マントルレオロジーへの応用
Project/Area Number |
13J07374
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 萌 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | カンラン石 / 斜方輝石 / 水素挙動 / 分配係数 |
Research Abstract |
本研究では、上部マントル鉱物中の水素挙動の解明に向け、高圧実験と理論計算を用いて研究を行う。そこで、本研究では今年度、以下の2点について研究を行った。 ①最上部マントル条件下における鉱物間の水の分配実験 : 地球最上部マントル条件での、斜方輝石-カンラン石間の水の分配に与えるA1の効果について調べた。 本実験から得られた斜方輝石-カンラン石間の水の分配係数は斜方輝石中のAl濃度の増加に伴い、増加すること(斜方輝石に水が入りやすくなること)が分かった。また、このA膿度が分配係数に与える効果は、高圧条件下ほど増大することが分かった。分配係数のA1濃度・圧力依存性から地球マントル内の深さ100~200kmで、斜方輝石のA1濃度の低下とともに斜方輝石の含水量の急減し、カンラン石含水量の急増することによっての急激な粘性低下が引き起こされると考えられる。この急激な粘性の低下が、リソスフェアーアセノスフェア境界の鯨飲となる可能性が示唆された。 ②第一原理計算による斜方輝石中の水素位置の決定 : 密度汎関数理論に基づいた第一原理電子状態計算から得られた結果と、高圧実験の結果とを比較することで、斜方輝石中の水素位置の決定を行った。 実験結果と計算結果の比較により、実験で強度比の強く得られる高波数のピーク(>3450cm^<-1>)は主に(a)Si→4H(b)2Mg→Al+Hの置換反応によって得られることがわかった。また、(c)Mg→2H(d)Si→Al+Hの置換からは3400cm^<-1>より小さい波数しか得られないことが分かった。高温高圧実験より得られた結果では高波数側の強度が強く得られており、実験結果を再現するためには(a)(b)の置換が必要であることが分かった。今後、この特定できた斜方輝石の水素位置をもとに、電気伝導度や粘性などの物理特性が含水することでなぜ変化するのかを考察することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①最上部マントル条件下における鉱物間の水の分配実験については現在投稿中である。 ②第一原理計算による斜方輝石中の水素位置の決定については計算が終わり、投稿準備中である。また、次の実験(高圧その場FT-IR測定)に向け、実験道具、および試料の準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、高圧その場FT-IR測定に向けて実験装置、及び試料の準備が整った。今年度、その場IR測定実験を行う予定である。 また、これまで行ってきた第一原理計算による結果をまとめ、準備が整い次第、投稿する予定である。
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Research Products
(4 results)